第二十四話 ドラグーン
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第二十四話 ドラグーン
香港での戦いを終えたロンド=ベルはそのまま中国を横断して重慶に向かっていた。ここにドラグナーの新型があるのである。
「何だかなあ」
タップはアルビオンの自室でぼやいていた。彼等はアルビオンに移っていたのである。
「重慶に着いたらすんなりと除隊できると思ったんだけれどな」
「連邦軍の制度に引っ掛かっちまうとはな」
ライトもいた。彼がここで言った。連邦軍ではマシンや戦闘機に乗ることができるのは将校以上なのである。改革によりそう定められたのだ。
「まあおかげで給料はよくなったけれどな」
「おいおい、そういう問題かよ」
タップはケーンにそう突っ込みを入れた。
「このままいったら何時死ぬかわかんねえんだぞ」
「大丈夫だって」
ケーンはタップを宥めてそう言った。
「死にはしねえよ」
「何でそう言えるんだ!?」
「根拠はねえけれどな」
「おいおい」
ライトがそれを聞いて呆れた声を出した。
「何となくかよ。ったく」
「けれど今まで生きてこれたんじゃねえか。色々とあったけれどな」
「そういやそうだな」
「まあ危ない場面もあったけれどな」
タップとライトはそれに頷いた。
「その原因の殆どは御前にあるけれどな」
「御前に言われたかねえよ」
ケーンはタップにそう返した。
「いつも無茶しやがって」
「戦いってのは多少の無茶はつきもんなんだよ」
「確かにな」
ライトがそれに同意する。
「無茶は戦いの調味料だ」
「初耳ですな」
それを聞いたベン軍曹がそう答えた。
「三人共何を話しているのですかな」
「軍曹」
三人は彼に顔を向けた。見ればベン軍曹は部屋の扉のところに立っていた。そして部屋の中に入って来た。
「とりあえずもうすぐ重慶ですが」
「は、はい」
三人は彼の姿を見て背筋を立たせた。階級が上になってもやはり怖いことは怖いのであった。
「一応これで登録も解除できますが」
「それ本当!?」
タップがそれを聞いて驚きの声をあげた。
「はい。そうすれば除隊も可能ですが」
「将校でも」
「それは関係ありません」
軍曹はやや事務的にそう答えた。
「少尉殿達はあくまで志願者という形になっておりますので。こちらとしては強制はできません」
「そうだったのか」
「じゃあこれでお別れできるんだな」
「はい」
軍曹はまた答えた。
「何度も申し上げる通りこちらはそれを強制できないのです。あくまでそちらで決められることです」
「そうだな」
「タップ、どうするつもりなんだ」
「決まってるじゃねえか」
タップはそう返した。
「除隊だよ。それで退職金で商売をはじめるんだ。前に言ってただろ」
「そういえばそうだったな」
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