第二十四話 ドラグーン
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るけれどな」
「こんな二枚目を捕まえてな。何処を見てるんだか」
「タップの何処が二枚目なんだよ」
「待てよ、こんな男前捕まえて何言うんだ」
「この雰囲気です」
軍曹はそのやりとりを見ながらまた言った。
「これがないとやはり寂しいです」
「そうなのか」
「私としては少尉殿達には去ってもらいたくはありません。ですが」
彼は言葉を続けた。
「しかしそれを決められるのは御自身です。私が申し上げることではありません」
「・・・・・・・・・」
「ですがよく御考え下さい。少尉殿達に去って欲しくない者もいるということを。それでは」
それだけ言ってその場を離れた。後には三人だけが残った。
「なあタップ」
ケーンはあらためてタップに顔を向けた。
「どうするんだ」
「・・・・・・・・・」
彼は俯いたまま答えようとしなかった。黙っていた。
「軍曹のあの言葉は心からの言葉だぜ」
ライトもそう言った。
「ああした人もいてくれてるんだ。それはよく覚えていろよ」
「・・・・・・ああ」
彼はようやく頷いた。だがその顔はまだ晴れてはいなかった。何処か暗く沈んでいた。
しかし時は彼等を待ってはくれなかった。ロンド=ベルは遂に重慶に到着したのであった。ここは中国四川省にある都市でありこの辺りでは最大の都市でもある。ここの料理は辛いことで有名だ。
「さて、と」
重慶に到着するとブライトはダグラス大尉に顔を向けた。
「ようやく重慶に着きましたね」
「はい」
大尉は嬉しそうに声をあげた。
「これでようやくあの三人ともおさらばです」
「はい」
だが横にいる軍曹はあまり浮かない顔をしている。
「やっとだな、本当に」
「そうですね」
嬉しそうな大尉とあくまで対象的であった。大尉もそれに気付いた。
「ん、嬉しくはないのか?問題児共に一番手を焼いていたのは軍曹だろう」
「確かにそうですが」
彼は答えた。
「それでも色々と思うところがありまして」
「?変わった奴だな」
大尉はそれを聞いて首を捻った。
「まあいい。今日という日程嬉しい日はない」
彼はそう言った。
「そうじゃないか、本当に」
「ええ、まあ」
軍曹も仕方ないように頷いた。
「じゃあ行くか。そして新しいパイロットを迎えよう」
そうした話をしながらロンド=ベルは軍の基地に向かった。そこでは既にいかめしい顔の老人がいた。
「よく来てくれたな」
「はい」
ブライトはその老人に敬礼して応えた。
「お久し振りです、プラート博士!?」
「プラート!?」
ケーン達はそれを聞いて驚きの声をあげた。
「まさかプラートって」
「ええ、そうよ」
リンダがそれに応えた。
「私の御父様なの」
「娘が世話になったな」
博士
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