第二十話 冥府の王、その名は天
[9/16]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
イザ」
「何故ハレックが今回の作戦の鍵なのでしょうか」
それが彼女にとっては疑問であったのだ。
「知りたいか」
リヒテルはそう言いながら彼女に顔を向けてきた。
「バルバス、そなたも」
「はい」
バルバスもそれは同じであった。彼も頷いた。
「是非共お聞かせ下さい」
「わかった。ではまずそなた等に聞こう」
リヒテルは言った。
「我々の兵器と地球の兵器、互いを見てどう思うか」
「決して劣っているとは思いません」
ライザが答えた。
「互角といったところでしょうか」
バルバスもそう述べた。
「うむ、そうだな」
リヒテルは彼等の言葉を受けて頷いた。
「我等の兵器、決して地球のそれには劣ってはいない」
「はい」
「だが何故勝てないのか。考えたことはあるか」
「それは・・・・・・」
それにはライザもバルバスも沈黙してしまった。それは彼等の責任でもあるからだ。
「我々が至らないばかりに」
「余が言っているのはそういうことではない」
だがリヒテルはここではそれは問わなかった。
「余はそれに一つ気付いたのだ」
「それは」
「人だ」
リヒテルはそう言い切った。
「人」
「そうだ。正確に言うならば操縦者だ。地球人はマシンにそれぞれ乗り込んでいるな」
「はい」
「そしてその性能以上の能力を引き出している。ならば我等もそうすべきだ」
「それでは今回のことは」
「そうだ。ハレック」
リヒテルはまたハレックに声をかけた。
「はい」
「そなたはバームを愛しておるか?」
「勿論でございます」
ハレックはそれに答えた。
「心から」
「うむ」
リヒテルはそれを聞いて頷いた。
「それでは今その心を余に見せてくれぬか」
「提督のご命令とあらば。我が武術、お見せしましょう」
「頼むぞ。そなたの敵はあれだ」
そう言ってダイモスを指差した。
「ダイモス、そしてそれに乗る男だ。竜崎一矢という」
「竜崎一矢」
「あの男こそ敵の主軸の一人。あの男の首、見事挙げてみよ」
「承知しました。私も武人の端くれ。正々堂々と正面から勝負を挑ませて頂きたいのですが」
「よかろう」
リヒテルはそれを認めた。
「勝利の暁にはそなたを余の副官に任じよう」
「副官に」
それを聞いたライザの顔色が変わった。だがハレックはそれには応えなかった。
「リヒテル様」
「何だ、不服なのか」
「いえ。有り難い御言葉ですが私の望みは地位でも名誉でも富でもありません」
「では何なのだ?」
「私の望みは一つです」
ハレックは言った。
「バームの民の幸せ・・・・・・。他には何もいりません」
「フフフ、わかった」
リヒテルはそれを聞いて笑った。
「気に入った。ならばその手でバームの民を救ってみせ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ