第二十話 冥府の王、その名は天
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緒に来て欲しいの。いいかしら」
「ま、待ってくれよ」
側まで来た少女に対し慌ててそう声をかけた。
「一体何のことなのか。それに僕は君が誰かも知らないし」
「私?」
「そうだよ。君は一体誰なんだ」
「私は美久。氷室美久よ」
「氷室・・・・・・美久」
マサトは彼女の名をそらんじた。
「そうよ。覚えてくれたかしら」
「覚えたけれど」
だからといって納得したわけではなかった。マサトには何が何だか全くわからなかった。
「けれどそれが」
「いいから来て!」
美久はそう言うとマサトの手を掴んだ。そしてそのまま引っ張った。
「うわ」
外見からは想像もつかない力だった。彼は身体をそのまま引っ張られた。そしてバイクの後ろに乗せられた。
「行くわよ」
「う、うん」
そしてそのままバイクは走る。マサトはあっという間に湘南まで来ていた。
「何でこんなところにまで」
彼は海を見ながらそう言った。見れば海岸は観光客で一杯である。
「まさかここへ来るなんて」
湘南へは何度か来たことがある。美久は彼に対して言った。
「もう少しだからね」
「あの」
マサトは尋ねた。
「何処へ行くつもりなんだい?」
「すぐにわかるわ」
「何かさっきからそんなことばかり言っていないかい?」
ふとそう尋ねた。
「そうかもね」
美久はそれを認めた。
「けれど今はそんなことを言ってる場合じゃないの。御免なさいね」
「うん」
その勢いに流されてしまう。だが彼はそれを受け入れざるを得なかった。それが運命だったのだから。
「着いたわ」
また声をかけてきた。着いたのは何かの基地のようであった。
「連邦軍の施設なのかい?」
「ちょっと違うわ」
美久はそう答えた。
「関係はほんの少しあるかも知れないけれど」
「DCじゃないよね」
「いえ」
「じゃあ何なのだろう」
そう思いながらも美久に連れられるままその施設の中に入った。そこは基地であった。軍事関係の設備が揃っていた。
「基地か」
マサトはそれを見て呟いた。
「一体何の為に」
そう思った。ここで前にサングラスの男が姿を現わした。
「美久、御苦労だったな」
「はい」
美久は彼に挨拶をした。中年の鋭い感じのする男だった。
「貴方は」
マサトは彼にも問うた。
「私か」
「はい」
男はマサトの言葉を受けて彼に顔を向けてきた。
「マサキ」
「えっ!?」
マサトはその名を聞いて声をあげた。
「僕はマサトですが」
「そうだったな」
男はそれを受けて呟いた。
「今の姿の名は」
「!?」
マサトにはその言葉の意味がよくわからなかった。だが男は続けた。
「私は沖功という」
「沖さんですか」
「そうだ。かって君に会ったこと
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