第二十話 冥府の王、その名は天
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朝になった。彼等はそのまま湘南に留まっていた。その時海岸に一人の男がいた。
「ううう・・・・・・」
黒い髪の男がそこにいた。
「何とか脱出はできたか」
だがそこに一人の男がやって来た。
「ムッ!?」
「待て、そこにいる男」
黒い髪の若者が彼に声をかけてきた。
「御前はバーム星人だな」
「如何にも」
彼は臆することなくそれに答えた。
「名は何という」
「ハレック」
彼は名乗った。
「ガーニー=ハレックだ」
「何、じゃあ御前がハレックだったのか」
彼はそれを聞いてそう答えた。
「そういう御前は誰だ?」
「俺は一矢。竜崎一矢だ」
若者はそう名乗った。
「何、では御前があのダイモスの」
「ああ」
一矢は答えた。
「フ、そうか。よい目をしている」
彼は一矢の目を見ながらそう言った。
「御前のような男と戦えたのは本望だった。さあ、殺せ」
「何を言っているんだ」
だが彼はそれを拒否した。
「俺達の戦いはお預けになっている」
「それがどうしたというのだ」
「それに・・・・・・俺は御前に命を救ってもらった」
「感謝されるいわれはない」
ハレックはそれに対してそう答えるだけであった。
「俺は同胞の不始末をしただけだからな」
ここで京四郎の声がした。
「一矢、そこにいるのか!?」
「いかん」
一矢はそれを聞いてすぐにハレックに顔を向けた。
「ハレック、すぐにここを立ち去れ」
「何、どういうことだ」
「ここは俺に任せるんだ。だから逃げろ」
「竜崎」
ハレックはそれを聞いて彼を見やった。
「御前は俺を助けるというのか?」
「そうだ」
一矢はそれに対してそう答えた。
「敵である俺を」
「次に会った時に決着をつける」
一矢はそう答えた。
「だから今は逃げるんだ。いいな」
「竜崎・・・・・・」
「それまでに傷は治しておけ。いいな」
「わかった」
ハレックは頷いた。頷きながら心の中で思った。
(何という高潔な心を持った男だ)
彼は今地球人、そしてバーム星人の垣根を越えてそう感じた。
(これならエリカ様が魅かれるのも道理)
そしてまた一矢に対して言った。
「竜崎。この借りは必ず返す」
「ああ、拳でな」
「うむ」
こうしてハレックはその場を後にした。そして後には一矢だけが残った。
「そこにいたのか」
そこへ京四郎がやって来た。サンシローやピート達も一緒である。
「おい一矢」
ピートが声をかけてきた。
「ここにバーム星人がいなかったか?」
「ああ、いた」
一矢は素直にそう答えた。
「何!?」
「俺と戦ったバームの戦士ハレックがいた」
「それはどういうことだ」
ピートはそれを聞いて顔を顰めて問うてきた。
「ま
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