第二十話 冥府の王、その名は天
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だ。正確に言うならば考えるふりをした。
「よし。それではそなたに任せよう」
「ありがたきしあわせ」
「それでは決まりだ。セオライマーの征伐は耐爬に任せる」
「ハッ」
他の八卦集がそれに頷いた。
「他の者は英気を養うように。それではさがれ」
「わかりました」
こうして彼等は一先この場を解散した。幽羅帝は自分の部屋に戻った。ベットや装飾はあるが意外と質素な部屋であった。何処か落ち着いてそれでいて幼い少女の香りが残る部屋であった。そこに耐爬が入ってきた。
「帝」
「よく来た」
幽羅帝は耐爬の姿を認めて微かに目を細めた。
「今回の件はそなたに任せた」
「はい」
彼はまた頭を垂れた。
「必ずや帝のご期待に添えます」
「頼むぞ」
彼女は毅然とした態度を崩してはいなかった。だが何処か彼を見る目が他の者に対するのとは違っていた。
「願わくばお願いがあります」
「何だ」
耐爬の言葉に応えた。
「この身を愛するからこそ出撃を命ずるのだと仰って頂きたいのですが。そうだ、と」
「馬鹿を申すでない!」
だが彼女はそれを聞いて怒りの声をあげた。
「耐爬、私は何だ!?」
「帝でございます」
「そうだ。それでは私に対して申してもようことと悪いことがわかろう」
「はっ、申し訳ありませんでした」
「下がれ。それ以上申すことはない。ゼオライマーを倒してまいれ」
「わかりました」
彼はそれを受けて引き下がった。部屋には幽羅帝だけとなった。
「くっ・・・・・・」
彼女は耐爬が下がった後一人辛い声を出していた。だがそれを耐えそのままベッドに入ってしまった。
「何故私は帝なの・・・・・・」
一言そう言い残して。
日本の静岡。ここに一人の少年がいた。
彼の名は秋津マサト。ごく普通の中学生であった。顔立ちも普通でありこれといって特徴もなかった。筈であった。この日までは。
マサトは学校から帰る途中であった。いつもの通学路を通っていた。
「帰ったら何しようかな」
何となくそう考えていた。しかしそれは呆気なく打ち消されてしまった。
「あの」
彼の前に一人の少女が姿を現わした。
「君は?」
マサトは彼女を見て声をあげた。見れば茶色の長い髪を持つ美しい少女だ。
「貴方を向かえに来ました」
彼女は一言そう言った。
「迎えにって!?」
「はい」
少女は答えた。
「ちょっと待ってくれよ。本当に僕なのかい?」
「ええ、マサト君」
少女はまた答えた。
「どうして僕の名前を」
「秋津マサト君よね」
「う、うん」
マサトは戸惑いながらもそれに答えた。
「秋津マサト。三月六日生まれ、本籍は静岡・・・・・・」
「なら間違いないわ」
少女はそれを聞いて微笑んだ。
「私と一
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