第十九話 再会
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それを聞いてリヒテルの顔色が変わった。見るみるうちに紅潮していく。
「ならもう言葉もない、エリカよ」
「はい」
「今ここで成敗してくれる、そこになおれ」
剣を抜く。そしてエリカに詰め寄ろうとする。
エリカは一歩も動かない。ただリヒテルを見据えているだけである。そして言った。
「兄上、御聞き下さい」
「黙れ!」
リヒテルは叫んだ。
「裏切り者の言葉なぞ聞く必要はない。せめてもの情だ。世自らの手で始末してくれる!」
「若、お止め下さい!」
そんなリヒテルをマルガレーテが止めた。二人の間に入ってきた。
「どけ、マルガレーテ!」
リヒテルはそんな彼女をどけようとする。だが彼女は引き下がろうとはしなかった。あくまでエリカの前に立ち彼女を守ろうとする。
「この様な光景を御父様が御覧になれば・・・・・・」
「その父を殺したのは地球人だ!その地球人を愛するなぞどういうことだ!」
「どうしてもというのなら私をお斬り下さい」
マルガレーテは言った。
「何!?」
それを聞いたリヒテルの動きが止まった。
「どういうつもりだ、マルガレーテ」
「おひいさまをお育てしたのは私です。全ては私の責任です」
「馬鹿な、何を言う」
リヒテルは戸惑った。彼もまたマルガレーテに育てられたのだからこれは当然であった。
「ですから、ですからエリカ様だけは・・・・・・。それだけはなりません」
「クッ・・・・・・」
さしものリヒテルの動きも完全に止まった。掲げていた剣を下ろす。
「勝手にするがいい」
負けた。彼は妹を斬ることを遂に諦めたのであった。
「だが許しはせぬ。そなたを牢に入れる」
「はい」
「裏切り者を許すわけにはいかぬ。よいな」
「若・・・・・・」
「マルガレーテ」
リヒテルはマルガレーテをキッと見据えた。
「最早余に肉親はおらぬ。よいな」
「わかりました・・・・・・」
「余はこの世に一人だ。一人しかおらぬのだ」
「わかりました」
「よし。衛兵達よ」
そう言うと彼は左右の兵士達に声をかけた。
「ハッ」
翼を生やした兵士達がそれに応えた。
「裏切り者を連れていけ。よいな」
「わかりました。さあ、こちらへ」
「はい」
エリカは彼等に従った。大人しくそれに従い司令室から消えた。
(さようなら、一矢)
彼女は最後に心の中で呟いた。リヒテルはそれを何も言わず見送っていた。
「これ」
そしてまた別の兵士達に声をかけた。
「ライザとオルバスに伝えよ。再度地球人共を殲滅するとな」
「わかりました」
兵士達はそれに頷いた。
「そしてハレックだ。あの者にも出てもらう」
「ハレック様もですか」
「そうだ」
リヒテルはその言葉に頷いた。
「地球人共の力、決して侮ること
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