第十九話 再会
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がないだろう!」
「落ち着け、一矢」
そんな彼を京四郎が嗜めた。
「話はまだ終わっちゃいないぞ」
「しかし」
「だから落ち着けと言ってるんだ」
それでも京四郎は彼を嗜めた。
「いいな」
「・・・・・・ああ」
一矢はそれに従った。そしてエリカを見た。見れば皆戦いを中断しエリカに注目していた。
「すいません、皆さん」
エリカは言った。
「私は・・・・・・全てを思い出しました」
そう言うと艦橋を後にした。そしてそのまま格納庫へ去っていく。
「待って、エリカさん!」
ハーリーが呼び止めようとする。だがルリがそれを制した。
「ルリさん、どうして」
「ハーリー君」
ルリは表情を消しながらも優しい声で彼に語りかけてきた。
「今は追う時ではありません」
「けど」
「わかりますから。私はエリカさんと一矢さんを信じています」
「・・・・・・信じているんですか」
「ええ。だから今は行かせてあげるべきです」
「わかりました」
ハーリーは頷いた。そして彼は動きを止めた。
ルリの言葉にユリカ達も従うことにした。彼女達はそのままエリカを行かせた。
「どんな苦難があってもあの二人は乗り越えます」
ルリはまた言った。
「そしてその先には」
エリカはナデシコを出た。そして予備のガルバーで出る。だがそこで大空魔竜に乗るピートが叫んだ。
「行かせるか!スパイを逃がすな!」
「やはりな」
京四郎はそれを聞いて呟いた。
「おかしいとは思っていたが」
「京四郎、それはどういう意味だ」
一矢が彼にくってかかってきた。
「まさか御前はエリカを疑っていたのか」
「ああ、そうさ」
彼はすぐにそう答えた。
「そう思うのが普通だろう。スパイじゃないかってな」
「エリカはスパイなんかじゃない!」
彼は叫んだ。
「じゃあ何で今逃げるんだ?」
「それは・・・・・・」
彼は答えられなかった。そのかわりにエリカの乗るガルバーに顔を向けた。
「エリカ、説明してくれ!」
「一矢、御免なさい」
だがエリカはそう答えた。
「そんな、こんなことが・・・・・・」
「私はバーム星人、リヒテルの妹です」
「エリカが父さんの仇の妹だったなんて・・・・・・」
一矢は呆然としていた。今何が起こっているのか把握できてはいなかった。
「こんな、こんなことが・・・・・・」
「貴方を騙すつもりはなかったのは信じて下さい」
「エリカ」
「貴方はお慕いしてはいけない人・・・・・・さようなら」
そしてバームの方へ行く。ダイモスはそれを追おうとする。
「行くな、エリカ!」
「一矢!」
エリカは振り向こうとした。だがそれを止めた。
「駄目」
行ってはいけないことはわかっていた。振り向きたくとも。
(
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