第十七話 決戦の場へその三
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戦いがはじまろうとしていた。運命の戦いがである。
だがここでだ。またしてもパルジファルが皆に対して言うのだった。
「待て」
「えっ、待てって」
「ここでやるんじゃないんですか?」
「神戸でやるんじゃ」
「だからここに」
「神戸で戦うことは戦う」
パルジファルは今戦おうという一同に対して告げた。
「しかしだ」
「しかしですか」
「っていうか何が?」
「何かあるの?まだ」
「場所はこちらで決めさせてもらう」
そうだというのだった。
「私の方でだ」
「何かこの戦いこんなのばっかりじゃねえのか?」
千明がパルジファルのその言葉を聞きながら述べた。
「こうしてよ。何かっていうとあっち行くだのこっち行くだの」
「こちらも聞きたい」
パルジファルからの問いだった。
「私もだ」
「えっ、王様も?」
「何をですか?」
「一体何があるのだ」
「最初神戸に来てくれと言った」
言うのはこのことだった。
「しかしだ」
「しかし?」
「っていうと」
「まさか」
「そのまさかだ。何故和歌山や三重に行ったのだ」
やはりであった。このことを指摘したのだった。
「あれはまさかと思ったのだがな」
「いや、まあそれは」
「ちょっとこっちも手違いで」
「こちらもだ」
戦隊側も敵側もだ。このことにはどうしても口ごもるのだった。やましいというか後ろめたいというかだった。そうした感情があるからだからだ。
「気付いたら和歌山にいたわけで」
「三重にいたから」
「だからまあそれは」
「許して欲しいのだがな」
「それでだ。二度とそういうことがないようにだ」
落ち着いているがはっきりと怒っている言葉だった。
「それで決めさせてもらう」
「それでなんですか」
「そうだと思ったけれど」
「やっぱりそれなのね」
「場所は須磨の砂浜だ」
そこだというのだ。
「そこで戦ってもらう」
「須磨の砂浜」
「そこなのね」
「海水浴場か」
「じゃあ戦いが終わったら」
「また遊べるな」
この期に及んでこうした考えに至る彼等だった。
ところがである。また言ってきたパルジファルだった。
「いや、待て」
「あっ、やっぱりですか」
「遊ぶ前にですか」
「そういうことなんですね」
「そうだ。大体諸君等は戦っているのではないのか」
このことを問うのだった。正論である。
「それで何故今一緒にいるのだ」
「まあこれは何ていうか」
「一緒になったっていうか」
「縁で」
「それで」
「それでか」
また頷く彼だった。
「それもわかったがだ。とにかく戦いによって聖杯の行方を定めるのだな」
「それはな」
「決まっているから」
「絶対にだ」
敵も味方も言う。それは絶対というのである。
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