第十六話 シュウ、再び
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られていた。例え背徳者であってもだ。
「クッ・・・・・・」
「当然貴方も御自身がどうなるかおわかりの筈です。もう戦争なぞしている場合ではないでしょう」
「だからといって私が諦めるとでも思っているのか」
「まさか」
「そうだろう、その通りだ」
ラセツはニヤリと笑ってそう言葉を返した。凄みのある笑みとなっていた。
「例え大統領の後ろ楯がなくとも今の私にはこれがある」
「そのオモチャがですか?」
「馬鹿を言うな」
ラセツはそう言ってシュウを睨み返した。
「このバイラヴァを馬鹿にすることは許さんぞ」
「バイラヴァ、ですか」
シュウはその名を聞いて何か言いたげに呟いた。
「破壊神シヴァの仮の姿の一つの名でしたね、確か」
「如何にも」
「それでしたら私にも考えがあります。何故なら」
シュウの顔に凄みが走った。先程までの涼しげな微笑が消えていた。
「このネオ=グランゾンも破壊神シヴァが本質なのですからね。フフフフフ」
「何が言いたい」
「何が?そのままですよ」
シュウは涼しげな微笑を戻してそう言葉を返した。
「破壊神はこの世に一つで充分なのですよ。そう」
言葉を続けた。
「一つだけね」
「まさか」
それを聞いたウェンディが眉を顰めさせた。彼女は今グラン=ガランの艦橋にいたのだ。
「ウェンディ殿、どうかなされたのですか?」
そこにシーラが声をかけた。
「いえ、何も」
だが彼女は言葉を濁した。言うわけにはいかなかったからだ。
(破壊神が一つということは)
彼女はネオ=グランゾンを見ながら心の中で呟いていた。その顔からは血の気が引いていた。
(クリストフ、貴方はまさかあの神とは既に・・・・・・)
しかしそれは彼女の憶測に過ぎないことはわかっていた。ウェンディはただことの成り行きを見守るしかできなかったのであった。シュウはその間にも言葉を続ける。
「シヴァの本質は破壊だけではないのですよ」
「何が言いたい」
「破壊の後には何がありますか」
シュウはラセツに問うた。
「・・・・・・・・・」
だがラセツは答えられなかった。シュウが自分に対して何を言いたいのかわからなかったのだ。
「おわかりにならないようですね。貴方はその程度だということです」
「何!」
ラセツはそれを聞いて激昂した。しかしシュウは相変わらずクールなままであった。
「貴方は軍人でしかありません。それも悪い意味で。だから破壊の後には何があるのかおわかりになられないのですよ」
「まだ言うか」
「はい。破壊の後にあるのは」
シュウは微笑んだまま言った。
「創造と調和です。このネオ=グランゾンの力はシヴァそのものであるならば」
「それ以上言うことは許さん!」
プライドを傷つけられたと感じたラセツは
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