第十六話 シュウ、再び
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った。
「ではそれはそちらでやってくれ」
「はい」
「モニカには何もないと思うがな」
「それは御安心下さい。さて」
彼はここでタダナオ、オザワ、そしてサフィーネに顔を向けた。オザワはもうギオラストに乗り込んでいた。シュウは彼等に対して言った。
「それでは行きますよ。いいですか」
「ああ、何時でもいいぜ」
「どうぞ」
「シュウ様の命じられるままに」
三人はそれぞれ答えた。これで全てが決まった。そして彼等も道に入った。
「さあ、行きなさい。貴方達の使命を果たす為に」
「ああ」
こうして三人は地上へと向かった。彼等がそこを通り抜けると道は閉じられた。
「これでよし、です」
「クリストフ」
フェイルは彼だけになるとあらためて彼の名を呼んだ。今度は本来の名で、であった。
「何ですか」
シュウはそれを受けて彼に顔を向けた。やはり涼しげな笑みのままである。
「変わったな。いや、本来の姿に戻ったというべきか」
「そうですかね」
「誤魔化さなくていい。今ここでやりとりをしているのは私と卿だけだ」
「私もいるんですけれどね」
ここでチカが割って入ったがシュウが彼女に対して言った。
「チカ、貴女は大人しくしていなさい。いいですね」
「わかりました」
彼女は渋々ながらそれに頷いてシュウの影の中に消えた。それから二人はまた話をはじめた。
「一体何を考えているのだ」
「御存知だと思いますが」
「そうだな」
フェイルにはよくわかっていた。ここでもまた頷いた。
「それではもうすぐ行くのだな」
「はい」
彼は応えた。
「私に命令できるのは・・・・・・」
彼は言葉を続けた。
「私だけですから。それを確かなものにするだけです」
「そうか、では行くがいい。軍には私から言っておこう」
「申し訳ありませんね」
「いい。だがそれだけが目的ではないだろう」
「ええ」
彼はそれも認めた。紫の目の光が不思議なものとなった。
「それは私の仕事のほんの一つに過ぎませんから」
「そうか、では多くは言えないが」
フェイルはここで言った。
「健闘を祈る。それだけだ」
「有り難うございます。それでは」
「ああ」
ネオ=グランゾンは何処かへ姿を消した。後には何も残ってはいなかった。黒い光もそこにはなかった。
「クリストフ、掴むのだ。卿の宝を」
フェイルは消えたモニターの向こうでそう言った。そして彼も姿を消した。
こうしてラ=ギアスでの戦いはひとまずは幕を降ろした。戦士達は今度は地上へと戦場を移すのであった。それはあらたなる死闘のはじまりであった。
第十六話 完
2005・4・5
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