第九話
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持ってきたよ!……って、どうかした?」
「なんでもないわ。てゐ・鈴仙この人を治療室まで連れてくるように」
「はい!」
二人は指示を受けると同時に悠斗をたんかにのせて運んで行った。
「安心しなさい。誰も殺させやしないから」
「……永琳さん」
永琳は涙を流す雛にそう声をかけると、その場を後にした。
「……死んだか」
暗闇の中、悠斗はそう呟いていた。
「しかたないか……クルト大尉は軍に忠実だし、裏切り者の処罰することもああするしかないって思うだろうしな……しかし、ここはなんだ?」
悠斗は変な孤独感と脱力感のあふれる空間の中に立たされていた。立たされているとは言えど動くことはできない。ただただぼーっとその場に立つしかなかった。
「はあ……まあいいか。どうせ死後の世界なんだろうし……」
と言いながら何も考えようとせずにその時を待ち続ける悠斗。
しかし、いつまで経っても次の世界は見えることはなく、時間だけが過ぎて行った。
さすがにいらいらしてきた悠斗は、今までの人生を振り返ろうと思い出を探り始めた。
「しっかし……まさか軍人になって最後を迎えるなんてな……」
もともとは悠斗もただの大学生であった。大学に通っては勉強し、家に帰ったらバイトの準備をしたりゲームをして時間をつぶしたり、時にはサークルの友人や先輩と遊んだりもしていた。
そんな彼が大学から革命軍への推薦を受けたのは4年目の春だった。
機密事項がどうだとか契約がどうだとか、悠斗にとっては疑わしいことばかりだった。入隊を決めた理由も興味と月給の良さだった。
入隊後、さまざまな場所で銃を持って走り回らされた。悠斗が唯一やめたくなった瞬間である。だが、行った場所で任務を終え、その時に得た達成感が悠斗を軍に引きとどめていた。
そんな矢先、幻想郷への進軍か発表された。
悠斗は任務の内容や動機を見ただけではガセネタだと思っていた。だが、実際に幻想郷は存在し、妖怪も幽霊も神様も存在していた。状況が整理されないまま戦場に立たされ、悠斗はかろうじて生き残っていた。それどころか、敗戦ばかりをきっしていたのに死人は一人も出ておらず、悠斗をさらに困惑させていった。
その2ヶ月後、別の分隊に所属していた彼の同僚が変な能力に目覚め、軍は混乱していた。それ以降、数十人の人間が、次々と能力に目覚め始めていた。戦闘に勝利し始めたのはこのころからだっただろう。悠斗が能力を開花させたのはそれからさらに1ヶ月後のことだった。
能力を知った幹部は、すぐさま悠斗を監視施設の看守に任命した。その時、もう戦場に立たなくていいと安堵の溜息をもらしたこ
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