第九話
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
義理なんて……」
「いから早く」
「でもさ……」
「だからあとで説明するっていってるでしょ!」
鈴仙は必死になりすぎて我を忘れたのか、思いっきりてゐを怒鳴りつけた。
「……れい……せん?」
「あ……ご……ごめん……こんなこと言ってる場合じゃないよね……とにかく手伝って」
「うん……」
二人はゆっくりと看守の体を起こすと、傷口を広げないようにゆっくりと運んで行った。
「今度はなにがあったの……」
永琳は血だらけの男をかついできた二人にそう言った。
「師匠!訳はあとできちんと話しますから、この人を治療してください!」
「それはいいけど……納得がいく説明をして頂戴ね?」
「もちろんです!てゐ、たんか持ってきて」
「わかった!」
てゐは男を壁にもたれ掛けるように座らせると、治療室に向けて走って行った。
「かなり重症ね……傷口を見た限り、なにか太いもので貫通してた様ね」
「出血も多いです。発見した時にはすでに倒れていました……輸血も必要だと思います」
「そうね……ところで、この人見た限り革命軍の人だけど……誰か知ってるの?」
「はい。この人は……」
鈴仙が簡潔に男のことを説明しようとした時だった。
「何かあったんですか?先ほどてゐさんがものすごい勢いで走って行かれたのですが……」
永琳の背後から一人の女性が声をかけてきた。
それが偶然だったのか……必然だったのか、そこにいたのは男のことをよく知っている人物だった。
「ああ、雛さん……」
「けが人ですか……いったい誰が……!?」
雛は男の顔を見たとたん、一気に表情は青ざめて信じられないと言わんばかりに目を疑っていた。
「悠斗……さん?悠斗さん!?」
男のそばに駆け寄り傷口をマジマジと見つめる雛。その目にはうっすらと涙が浮かんでいた。
「どうして……どうしてこんなことに……」
「まだ息はしてます。でも出血が多すぎて助かるかどうか……」
「私のせいだ……」
雛はそう呟いて表情を暗くした。
「……え?」
「私に触れて……この人に厄が回ったんだわ……だから……こんなことに」
「待って下さい!決して雛さんが悪いわけでは……」
「そんなことありません!げんに何度も私に触れた人は……ひどい見返りを……」
雛の目からはもう涙があふれ始めていた。
「……今はそんなこと言ってる場合じゃないわ。この人のことを思うなら……助かることを願いなさい」
「でも……」
「それ以外に何かできるの?」
「……わかりました」
「
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ