プロローグ
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スを見つめる。
そして、男が鍛え上げられた自らの腕を振り上げるのを、恐怖のあまり身動き一つ取れずに見ているだけだった。
「ぎ…ぎゃああああああああああっ!」
夜の海鳴の街に、一人の男に駆逐されていく暴力団員たちの悲鳴がこだましていった。
「あう〜…疲れたぁ〜…」
夜の海鳴の街を、一人の少女が疲れ切った表情でフラフラと歩いている。
栗色のセミロングの髪は左右で小さくまとめられており、細い首からネックレスのように下げられた赤いビー玉状の宝石は美しい輝きを放っていた。そしてその小さな肩には、クリーム色の体毛をしたイタチ科の小動物、フェレットがちょこんと乗っている。
「今日もお疲れ様、なのは」
『お見事でした。本日はゆっくり休みましょう、マスター』
「う〜ん…そうする〜…」
フェレットと赤い宝石が突然喋り出し、なのはと呼ばれた少女に向けて労いの言葉をかける。
本来ならばあり得ない光景であり、周囲の人間は何事かと驚くだろうが、幸いにも周辺に人影は無かった。尤も、周囲に人がいないことを確認したうえで、フェレットも宝石も言葉を発したのだが。
「ああ、でも明日までの宿題があるんだった…帰ったらやらなきゃ――」
なのはが疲労やベッドで寝たいという願望を押し切って宿題を思い出すと同時に、前方をちゃんと確認していなかったなのはは何かとぶつかった。
「ひゃっ!?」
「おっと、大丈夫か嬢ちゃん?」
「は、はい、すいま――ふぇっ!?」
なのははぶつかった相手が大人だと判ると、相手の顔を見て謝ろうと顔を上げる。だがその瞬間、なのはのみならずユーノの表情もたちまち凍り付いた。
なのはがぶつかった相手は、先程暴力団の事務所を滅茶苦茶にした男だった。どうやら悪党の成敗は終わったらしく、帰路についているところだったようだ。尤も、一方的に駆逐される暴力団と、暴力団を赤子の手をひねるが如く駆逐する男という構図を傍から見れば、どっちが悪党だか判らないだろうが。
『な、な、ななななななななななのは!?』
『ユ、ユ、ユユユユユユユユユユーノ君!?』
なのはとユーノは、魔導士が使えるテレパシーのような無線会話である念話を使って互いに慌てふためきながら会話する。なお、念話はテレパシーのようなものなので、念話の回線を繋げている者以外には聞こえない。
「もう遅いからな、早く帰れよ」
「は、ははははははははははい! ごごごごごごごごごめんなさい!」
「おう、気を付けてな」
男は尋常ではないほどに動揺するなのはを尻目に、ポンと頭に手を一瞬乗せて言うと、なのは横を通り過ぎて去っていった。
『こ…怖かった〜!』
『う、うん…。で
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