第1話:再臨のゲッター
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とも様子を見に行くことも無く、呑気にも眠り続けているのだ。
それが竜馬が四天王に全幅の信頼をおいているからなのか、ただ単に面倒だからなのかは、竜馬以外には知る由もない。
「………ッ」
さすがに外の喧騒が耳障りだったのか、竜馬は小さく呟きながら寝返りを打ち、少ししてからゆっくりと体を起こす。
「…チッ、うるせぇな。どうせまた借金取りの連中だろうが、喧しくて眠れやしねぇ」
竜馬は借金取りに対して悪態を吐きつつ、頭を右手でボリボリと掻き毟る。元はと言えば竜馬が借りた金を返さないのが悪いのだが、鳥竜館自体の知名度が地元にすらほぼ無いために門下生が少なく、月謝も碌に入ってこない貧乏道場であるため、返そうにも返す金が無いのだ。
ならば道場を離れて働けばいいだろう、という者もいるが、竜馬の風貌に問題がありすぎるためにどこの企業も採用してくれないのである。
そのため竜馬は20代にして、半ば隠居同然の生活をしているのであった。
「…向こうの部屋で寝なおすとするか――」
そう言いながら竜馬が昼寝に使う部屋を移動しようとした瞬間、竜馬の耳に四天王と借金取りとの悶着以外の音が飛び込んできた。
「…何だ、今の音は? …ッ!?」
聞きなれない低重音が聞こえたと思った直後、竜馬の足元が小さく小刻みに揺れた。
時々起きるただの地震のようにも思えるが、竜馬はこれが自然によるただの地震ではないと本能的に感じ取った。
何故そう思ったのかは竜馬にも判らない。だが竜馬は妙な胸騒ぎを感じると直感的に部屋から飛び出し、中庭の木から屋根へと飛び移る。
誰か一人でも乗ればあっという間に抜けてしまいそうなほどボロボロの屋根瓦の上を、竜馬の大柄な体躯からは想像できないような器用な走りで屋根の端まで行き、そこから山の麓にある街の様子を見る。
「…! 何だ、ありゃあ!?」
竜馬は自らの眼下に広がる、変わり果てた海鳴の街の姿に驚愕した。
街のド真ん中にはあろうことか奇妙な形をした巨大な樹木が君臨していたのだ。さらにその樹の枝は街中に広がっており、その枝幹の姿はまるで海鳴の街を制圧してしまっているかのように見えた。
「こいつはひでぇ…。しかし、あの樹はどこから現れやがったんだ、まるで魔法みてぇな――」
竜馬は自分が言葉を発している途中に、ある事に気づいてはっとした。
「魔法…そうか、こんな物理法則もあったもんじゃねぇような事が出来るのは…!」
そう呟いた竜馬は踵を返し、駆けあがってきた屋根瓦の上を再び走って戻る。今度は多少は余裕が無くなっているのか、通り道になった屋根瓦が所々砕けていた。
屋根から飛び降りた竜馬は歩みを止めることなく勢いを乗せて走り続け、鳥竜館の一番奥にある普段はあまり使われ
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