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リリカルってなんですか?
無印編
第二十二話 裏 後 (なのは、クロノ、プレシア、リンディ)
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知るつもりもなかった。なのはが考えていることは、唯一つ。はやく翔太が返ってこないかな、ということだけである。

 なのはの願いが叶ったのは、ジュエルシードに封印を施してすぐだった。転送ポートに移動したリンディと一緒についていくと、すぐに転送ポートが黄色い光に包まれて、猫耳を持った使い魔とバインドで縛られた翔太が現れた。翔太が視界に移った瞬間、なのはの意識の中には翔太のことしか頭になかった。本来であれば、今すぐ消したくなるほどの怒りを抱いているはずの使い魔の事でさえ、目に入らないほどに。

 近寄った翔太の姿はなのはの目から見ても痛々しいほどだった。顔は全体的に腫れており、口からは血を流している。腕などは、ずっと縛られていた影響か、うっ血しており、さらには殴られた影響で痣になってる箇所さえある。おそらく、服を捲ればもっと酷い惨状がなのはの目に入るだろう。だが、翔太の惨状は、服を捲るまでもなくなのはが涙を流すには十二分だったらしく、翔太の痛々しい姿を視界に納めた瞬間からなのはの両目からはぽろぽろと涙が流れていた。

「ショウくんっ! 大丈夫っ!?」

 大丈夫でないことは、見たらすぐに分かるものだが、そう問わずにはいられない。だが、そのなのはの優しさが心地よかったのか、翔太は腫れている顔を無理矢理笑みを浮かべるようにして笑いながら―――顔を動かしたとき痛かったのだろう、笑みは若干引きつっていた―――「あははは……、ちょっと身体中が痛いかな」と冗談交じりのような言葉を口にする。

 それがなのはを心配させないための強がりであることは目に見えて明らかだ。そんな翔太の気遣いとも思える部分がすごいな、と思いながらも、今はそれどころではなく、翔太の怪我の手当ての方が先と気づいた。

「えっと、えっと……そ、そうだっ! 病院っ! 病院に行かないとっ!!」

「いや、それよりも、僕のほうが早いよ」

 翔太となのはの間に入ってきたのは、ユーノだ。最初、なのはは何するんだっ!! と憤っていたが、ユーノがかざした手の平から翔太に当てられる淡いエメラルドグリーの光を見て、憤りを収めた。怪我=病院という等式はなのはの中では常識だ。だから、なのはが関わっている力は魔法という存在を忘れていた。

 エメラルドグリーンの光を当てられた翔太の傷がゆっくりと治っていき、翔太の表情も安らかなものへと変わっていくのが分かる。だが、それでもなのはは心配だった。彼女は、翔太が殴られている場面を目撃しているのだ。あれだけ何度も殴られているのに本当に大丈夫だろうか? と心配してしまうのは仕方のないことだろう。

 はらはら、と心配を拭うことはできず、翔太の傍にいるなのは。だが、そんな彼女を気遣ったのか、ユーノの回復魔法を受けていた翔太がまだ傷が治ったばかりで弱々しく
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