無印編
第二十二話 裏 後 (なのは、クロノ、プレシア、リンディ)
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「……これが、事件の結末か」
リンディはそう呟くと、プツリとモニターを切った。
プレシアがあんな様子になったのは、医務室で金髪の人形を見つけたときからだ。診察を受けていたプレシアがあの人形を目にした途端、なんとしてでもあの人形を手にしようと暴れ、その人形を渡すと大人しくなり、しかも、その人形をアリシアと呼びだしたのだ。ちなみに、人形は負傷者に子どもがいたときのことを想定しておいてあるものだった。
ミットチルダに帰って検査しなければ分からないが、彼女が心を病んでいるのは間違いないだろう。
なのはの報告によると戦闘の余波で、プレシアはアリシアを失ったらしい。もっとも、それがどんな状況なのか、民間協力者のなのはには、報告用のカメラがないためわからない。だが、時の庭園が崩壊するほどの戦闘だったのだ。そのすごさはカメラがなくとも分かる。
おそらく、ミッドチルダに送られた彼女は、そのまま病院へ運ばれ、そこで残り少ない命を終えるのだろう。医務局員の話によると彼女には大きな病が体を蝕んでいるらしいから。おそらく、今回、こんな事件を起こしたのは彼女に残された時間が少なかったからだろう。
人形を娘と勘違いしたまま終える命。それが幸せかどうか、リンディには分からなかった。それはリンディが考えるべきことではないからだ。幸せかどうかは、主観だ。今の彼女の主観がどうなっているか分からない以上、彼女が幸せかどうかが分かるはずもなかった。
「ロストロギアの事件で、死者なし……ね」
人が絡まないロスロギア事件でも少なくとも死者が数人は確実に発生するというのに、今回の事件では軽度の負傷者が数十人。これは奇跡とも言える数字だった。おそらく、リンディも自らの力でこの数字を出していれば、自らを誇れていただろう。だが、実際は―――
「殆ど、なのはさんの協力のおかげですけどね」
いつの間に部屋にいたのか、クロノがリンディの独り言に反応していた。しかも、その言葉はリンディですら頷かざるを得ないほどに的を射ていた。
「そうね」
高町なのは―――彼女の協力がなければ、最終的な死傷者がゼロということも、負傷者がゼロということもロストロギアであるジュエルシード二十個が返ってくることもなかっただろう。いや、そもそも事件が解決できていたかどうかも怪しい。もしかすると地球もろとも次元断層の中に消えていたかもしれない。
「……母さん、僕、帰ったらアリアとロッテにもう一度鍛えなおしてもらおうと思います」
それは、クロノなりの決意だった。今回、撤退する―――いや、綺麗な言葉ではなく、正確に言うと逃げることしかできなかった自分を恥じた言葉だった。自分が如何に力が足りないか自覚したから。だから、もう一度、初心に帰って師匠に鍛
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