無印編
第二十二話 裏 後 (なのは、クロノ、プレシア、リンディ)
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。その答えの如何によっては、クロノは彼女の敵だった。そう、敵だ。翔太を取り返す邪魔をする者は全員敵。それが高町なのはの見解。もしも、邪魔をするというのであれば、彼女が持てる力で排除するつもりだった。前回の時と同様の二の鉄を踏まないように。その証拠にクロノに掴まれた腕と反対側の手は首からぶら下がっているレイジングハートへと伸びていた。
「それは……」
なのはの問いにクロノは言い淀んでいた。彼の中には彼なりの葛藤があるのだろう。だが、そんなことはなのはの考慮の中に入っておらず、早くして欲しい、となのはは思っていた。早く翔太を取り戻さなければならないのだから。
無言のにらみ合い。なのはにとってクロノの優先順位などないに等しい。だから、もうこれ以上は待っていられない。さっさと振り切ってジュエルシードをプレシアに渡してしまおう、と結論付け、レイジングハートにセットアップを命じようとした時、クロノに助け舟に入るようにリンディがなのはとクロノの間に割って入った。
「はいはい、ごめんなさいね。なのはさん、翔太くんを返して貰うためにジュエルシードを渡すことにしました」
「艦長っ!?」
リンディの突然の宣言。それを聞いたクロノは、驚いたような咎めるような声をあげるが、リンディは、クロノの声を飄々と受け流し、視線をなのはから外すことはなかった。なのはは、リンディからの言葉を聞いて一安心していた。プレシアとリンディの間にどんなやり取りがあったか分からないが、なのはにとってはどうでもよかった。
「でも、そのまえに少しお願いがあるのだけど」
いいかしら? と問うリンディになのはは、一も二もなく頷いた。翔太が返ってくるのであれば、何でもするつもりだからだ。
じゃあ、とリンディが案内したのは、ジュエルシードが安置されている一画。そこからリンディが少しだけ機械を操作して取り出したのは、レイジングハートに内蔵されている一個を除いた二十個のジュエルシードが安置されているケースだった。そのケースを開き、二十個のジュエルシードをなのはに見せながら、リンディは頼む。
「なのはさん、これをジュエルシードの力を使って封印してくれないかしら?」
目の前のジュエルシードはなのはのSランクの魔力によって封印されている。それをさらにジュエルシードを使った状態のなのはで封印しろ、ということなのだろうか。SSSランクの魔力で封印されたジュエルシードはもはや、堅牢な鎧に包まれた状態と変わらないのだが、いいのだろうか? と少し疑問に思ったのだが、翔太が返ってくることで頭が一杯だったなのはは、特に問うこともなく二十個のジュエルシードに封印を施した。
「ありがとう、これで時間稼ぎには十分ね」
その呟きが何を意味するかなのはは知らない。
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