無印編
第二十二話 裏 後 (なのは、クロノ、プレシア、リンディ)
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アースラの管制塔の頂上にある艦長室に用意された特別室に座りながら高町なのはは翔太の名前を呼んでいた。
―――ショウくん、ショウくん、ショウくん、ショウくん、ショウくん、ショウくん、ショウくん、ショウくん、ショウくん、ショウくん、ショウくん、ショウくん、ショウくん、ショウくん、ショウくん、ショウくん、ショウくん、ショウくん。
それがまるで聖句のように、彼の名前を呼べば、彼の無事が保障されるように。
翔太の事が心配でならないなのはは、忙しそうに動き回りながらプレシアの動きを探っている局員を見ながら、早く、早く、と急かしていた。しかしながら、なのはが心の中で急かしたところで情報が舞い込んでくるはずもなく、無情にも刻々と時間は過ぎていく。
結局、なのはが望む情報が登場したのは、翔太が誘拐されてからかなり時間が経った後だった。
『こんばんはぁ、アポイントメントもなしにごめんなさいね』
モニターに映されたのは、なのはも知っている顔だ。親の仇ともいえるほど憎い相手。プレシア・テスタロッサだった。なのはは、顔には出さずとも、睨みつけるような視線でプレシアを見ていた。声が出せなかったのは、翔太を攫った本人を前にして燻っていた怒りに火がつき、その感情で心を支配されたからだ。
糾弾するとか、叫ぶとか、訴えるとか、そんなことを思いつくこともなかった。ただただ、目の前の相手に対する怒りで胸が一杯だったのだ。
だが、睨みつけたところで何も変わらない。怒りの炎は、一瞬燃え上がったが、そのままさらに燃え上がることはなく、少しだけ沈下して、ようやく物事考えられるようになって初めて、なのははプレシアに抗議の声を上げる事ができた。
「ショウくんを返せっ!!」
それはなのはにとっては必死の叫びだった。
なのはにとって翔太とは、幼い頃からずっと渇望していた唯一の友人なのだ。彼が手の届く場所にいない。それだけで、なのはは、不安でしかたなかった。不安だから求める。翔太を手の届かない場所へと連れて行ったプレシアに対して怒りを抱いているのだ。
だが、そんななのはの必死の叫びもプレシアには届かない。むしろ、なのはが怒りの裏側に必死に不安を隠しているのを見抜いているようにニヤニヤと気味の悪い笑みを浮かべていた。しかし、それも一瞬のことで、アースラの艦長であるリンディに話しかけられてからは少しだけ不快そうな表情をするのみに留まっていた。
なのはが蚊帳の外に置かれ、プレシアとリンディが会話を続けている。なのはが間に割って入らないのは、自分が割って入ったところで、翔太が返ってくる可能性が高くなるわけではないと理解しているからだ。
やがて、その交渉が上手くいったのだろう。なのはにとって、待ち
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