第58話 =てがかり=
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には答えずにカウンターの下に手をやって長方形のパッケージを取り出すと酒の入ったグラスのように俺たちの元へ滑らせてきた。どうやらゲームソフトらしく右上にはハードの名前らしきものが表記されていた。
「…《AmuSphere》?…聞いたこと無いな」
「ナーヴギアの後継機だとよ」
「……あんな大きな事件を出したってのによく出せたな」
和人の意見には俺も同意だ。あの事件以来ナーヴギアは悪魔の機械として恐れられてきたものだが、どうやらフルダイブ型ゲームのニーズは押しとどめることは出来なかったらしく大手メーカーから「今度こそ安全」と銘打たれた後継機がこの機械ということらしい。どうやらそのおかげでフルダイブは息を吹き返しPS○などの据え置きゲーム機とシェアを逆転するまでに至っているようだけど残念ながらテイルズシリーズは足を踏み込んでいないためフルダイブのものには目もくれていなかった。だが今ではSAOと同じようなジャンルのタイトルもリリースされて全世界で人気を博しているようだ。
「じゃあ、これもVRMMOなのか」
俺はそのままパッケージの表紙を眺めた。それには少年と少女が月をバックに剣を携え飛翔しているというものだ。イラストの下部には凝ったタイトルロゴで《ALfheim Online》。
「アルヴヘイム・オンライン……妖精の国?」
「よく読めたな…」
なぜかエギルが驚いていた。
「妖精?…じゃあまったり系のMMOなのか?」
「それが、そうでもないらしい。ある意味じゃどえらいハードだ」
俺の目の前にコーヒーの入ったカップを置きながら和人の質問に答えるエギル。
「ハード…ってどんな風に?ログアウトできないとか?」
残念ながらそういうゲームに関しては知識がSAOの分しかない為、的外れな発言をしてしまう。さすがにこのゲームはそんな事件性のあるものじゃなくてその使用がハードらしい。
その理由はどスキル制、プレイヤースキル重視、PK推奨。いわゆるレベルは無いらしく、各種スキルが反復使用で上昇するだけでHPも大して上がらないらしい。戦闘もプレイヤーの運動能力依存。
「剣技なし、魔法ありのSAOてとこだな。グラフィックなんかもSAOに迫るスペックらしい」
「へぇ…そりゃすごいな」
エギルの発言に隣の少年は唇をすぼめて感心していた。あの城並のスペックということは茅場の技術と同レベルの人物がいることになるんだから普通にすごい。
「…で、PK推奨ってのは?」
「プレイヤーはキャラメイクでいろんな妖精を選ぶわけだが、違う種族ならキル有りなんだとさ」
…その使用に俺は少しためらいの気持ちを持ってしまった。VRMMOの初作品がSAOな俺はPK=人殺しというイメージの
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