第58話 =てがかり=
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てくれたのだろう。
「……おやすみ」
そういいながら布団をかけなおして俺も風呂に入りに行こうとその部屋を出た。
―――――――
そしてその朝、今日も朝から練習だったので誰も起きていない桐ヶ谷家を後にし、いつものコートへと向かおうとしたところ、最近になって変えた着歌が鳴り響いたので美菜実に断りを入れて最近ガラゲから機種変更したスマートフォンの電源を入れる。
するとメールが着ておりその送信者はアルゲードで意外とお世話になった雑貨屋店主の《エギル》だった。そのメールのタイトルは《Look at this》…これをみろ…?どれを見ればいいんだ?と思っていると画像が添付されているのに気付きそれに眼を移した。
「……なんだよ…これ…」
メールに添付されていた画像はかなり引き伸ばしたものなのか荒かったのだが金色の格子の奥に白いテーブルと椅子が見え、その椅子に座るドレス姿の女性が移っている。
「……アスナじゃん…」
その女性は所沢の病院で今も眠っているはずのキリトの妻のアスナ本人だった。メールで返信するのももどかしく電話帳からエギル……本名《アンドリュー・ギルバート・ミルズ》の名を捜し見つけ次第速攻で電話をかけた。
『…もしもし』
「俺だ、リクヤだ。早速だけどあの画像何?」
『話が長くなる。店までこれるか?』
その一言には少々固まらなければならなかった。今すぐエギルの店まで行きたいがそうすると美菜実との約束…まぁいつもの日課の朝練だけど、それをすっぽかしてしまうことになる。
「……わかった。今から行く」
が、アスナらしき人物の情報の方が最優先と頭の中で決定してしまい、俺は駅まで自転車を走らせた。
―――――
《Dicey Cafe》これがエギルの経営する喫茶店だ。看板には2つのさいころを模したものが飾られており明らかに普通のカフェではない感じを出していた。
「こんにちはーっと……キリトもいるのか」
俺がその扉を開け中に入ると客が1人だけいた。ここの店主いわく「夜から儲かるんだ」ということのため日が昇っているうちは客がほぼ0らしい…。そしてその1人は多分、エギルからのメールで跳んで来たんだろうな。
「よぉ、意外と早かったな」
「意外とって何だよ」
あの世界でやったような気安いやり取りをかわしながら黒髪の少年の隣に座る。この傍から見れば狭っ苦しい駄目な店、と評価が下りそうだがその狭さも木造の店内の行き届いた手入れによって魅力の1つへと昇格している。どうやら彼も今来たばっからしく目の前にあったコーヒーはまだ湯気をたてている。
「…で、あれはどういうことなんだ」
黒髪少年の質問に店主はすぐ
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