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リリカルってなんですか?
無印編
第二十二話 裏 中 (リンディ、武装隊、アルフ、リニス、プレシア)
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殴られた跡が焼けるように痛いが、それを我慢して目を開いてみると身体中が、桃色の魔力光で縛られていた。

 レジストしようと頑張ってみたが、足掻きようがないほどの魔力で構成されたバインドを解くことなどリニスの卓越した魔法をもってしてもできるはずがなく、カツン、カツンと死神のように近づいてくる彼女を見ていることしかできなかった。

 やがて、近接戦闘には最適な位置まで近づくと彼女はポツリと言う。

「43。ショウくんが、あなたに殴られた回数だよ。だから―――それまで、壊れないでね」

 にぃ、と口の端を吊り上げて嗤いながら、リニスにとって絶望的なことを口にする。

 ちょっと待ってください、という制止の声をかける暇もなく、またしてもリニスの顔面に衝撃。次は、肩、胸、二の腕、鳩尾、わき腹。上半身を殆ど間隔をおかずに殴り続ける。

「あはっ、あはははははははっ!!」

 バインドで縛られ、無抵抗のリニスを殴りながら、彼女は声を上げて嗤う。リニスの返り血で自らの拳が汚れようとも。まるで、子どもが無邪気に虫を殺すように。

 上半身から痛まないところがなくなった頃、あれだけ継続的に感じていた痛みを不意に感じなくなった。

「―――起きてよ」

 パシンッと脳を揺らすように平手打ちで文字通りたたき起こされるリニス。どうやら、痛みのあまり気を失っていたようだ。だが、気絶の前に感じていた身体中からの痛みがなくなっていた。まるで回復魔法で傷が癒されたように。

「壊れないでって言ったよね」

 まるで恨むような口調で彼女は言うが、それは無理な話だ。あれだけの痛みを感じておきながら、気絶しないなどということは、生命体をやめたはずの使い魔であるリニスでも不可能なのだから。

「……どこまで数えたかな」

 回数を覚えていないのか、思案顔になる彼女。どうやら、先ほどまで殴っていた回数を忘れてしまったらしい。そのまま、忘れてくれれば、幸いなのだが。そう思ったが、彼女がたどり着いた答えはより残酷だった。

「まあ、いっか。最初からで」

 無邪気な女童のような笑みで言う彼女に恐怖をプログラムされていないはずのリニスの表情が、身体の奥底から湧き出してくる恐怖で固まり、引きつるのだった。



  ◇  ◇  ◇



 アルフが次に目を覚ましたのは、気を失って一体どれだけの時間が経った頃だろうか。それは、アルフには分からなかった。ただ、しょせん酸欠で一時的に意識を失っていただけだ。殴られた箇所は多少痛むが、それだけで、意識をはっきりさせるようにアルフは頭を振りながらゆっくりと起き上がった。

 気絶する前に仕掛けられたバインドが解けていることに気がつきながら、周囲を見渡す。もしも、リニスがいたとすれば、すぐ
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