無印編
第二十二話 裏 中 (リンディ、武装隊、アルフ、リニス、プレシア)
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にはいかないねっ! こっちはプレシアに用があるんだっ!」
帰らなければ、力ずくにでも、という雰囲気を醸し出しているが、そんなリニスの言葉をアルフは鼻で笑う。笑いながら、アルフはこっそり、小声で隣に立つクロノに対して話しかけた。
「リニスの向こう側に見える通路があるだろう。ここにリニスがいるってことは後は一本道なはずだ」
「だが、君だけでは……」
クロノがたった一人で戦おうとしているアルフを心配するように顔を曇らせるが、クロノの気遣いは余計なお世話というものだ。最初からアルフは彼女に話があった。プレシアにも言いたいことはあった。だが、それよりも、この師匠ともいえる彼女のほうに用事があるのだ。だから、プレシアはクロノに任せることにした。
「余計な心配はいらないよ。時間がないんだろう。ここはあたしに任せて、あんたは先に行きな」
アルフの言葉もまた事実。現状は、制限時間付きのチキンレースに近いのだから。だから、クロノは一瞬、逡巡した後、頼んだと残して一気に駆け出した。
だが、それを暢気に見逃すようなリニスではない。すぐさま、クロノの動きを妨害するように動き始め、その無手の拳がクロノを襲う直前にクロノとリニスの間に割って入るようにアルフが拳を片手で受け止めた。アルフの行動に一瞬だけ眉をひそめるリニス。その一瞬の隙の間であろうとも、クロノはそのまま駆け出し、通路の奥へと消えていった。
それを見届けて、もはやクロノを追うのは目の前のアルフを何とかしないといけないと思ったのだろう。リニスはアルフから距離を取るように数回のバックステップで距離を取って、アルフにとって馴染みのある構えを取った。
「いいでしょう。先にあなたから黙らせることにして、彼を追うことにしましょう」
リニスの言い方が、いかにもアルフをすぐさま片付けるという風に聞こえて、アルフの神経を逆なでにする。そもそも、アルフは、フェイトの件やら、翔太の件やらで色々鬱憤が溜まっているのだ。今のリニスの言葉は、アルフが堪忍袋の尾を切るのに十分だった。
「はっ! あんたは確かにあたしの師匠だったかもしれないけどさ、弟子はいつかは師匠を越えるもんだよっ!!」
先に仕掛けたのは、アルフ。お互いに武器は、その拳のみ。故に戦闘は近接戦闘が主になる。
拳を交わす二人。いや、正確には攻めているのはアルフで、それを無表情で鮮やかに捌いているのはリニスだった。二人の間には、まるで予定調和のようにある種の流れが見られる。それもそうだろう。彼らは師匠と弟子なのだ。アルフがリニスの戦い方を読めるように、リニスとてアルフの戦い方を読める。
何度、拳を捌かれただろうか。黙らせるといっておきながら、リニスが手を出してくることはあまりなかった。ただ、その
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