無印編
第二十二話 裏 中 (リンディ、武装隊、アルフ、リニス、プレシア)
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たが、フェイトの傍には翔太の両親がいる。彼らにならフェイトを安心して預けられる。だから、アルフはアルフにしかできないことをするためにこうして道案内を買って出ていた。
クロノと並んで走るアルフ。先ほどまでは、ウジャウジャと出てきていた傀儡兵の姿も見えない。それはアルフたちが、下層へと突入したからだろう。彼らが今向かっている場所は、アルフがここに住んでいた時代にプレシアに決して入るなと言い含められていた場所だ。
本当にそこにプレシアたちはいるのだろうか、と思っていたのだが、サーチを投げることもなく肌に刺すように感じる高密度の魔力から考えるにどうやら正解だったようだ。クロノもそれを感じ取っているのか無言でアルフについてきていた。
傀儡兵に邪魔されることもなくなった通路を走破することは簡単だった。上層、中層での戦いが嘘であるかのようにいとも容易くたどり着いたのは大きな扉の前。ここから先には決して行かないようにと言い含められたその入り口である。ここから先には何があるかアルフにも分からない。だが、それでも、彼女は進まなければならない。
バンッ! という音共にアルフが扉を蹴破る。扉の向こう側に何が待っているか分からないため、警戒を怠ることはなく、クロノもデバイスを構えたままだった。だが、扉を開けた直後の奇襲はなかったようで、それらの準備は杞憂に終わった。
しかしながら、奇襲がなかったにも関わらずアルフはその場を動くことはできなかった。
扉の向こう側は、一つの大きな部屋だった。机と様々な機械が並んでいるだけの部屋。そして、部屋の真ん中には一つの人影が存在していた。
猫耳を頭の頂点につけた使い魔の女性。アルフの師匠ともいえる存在―――リニスがお客様を迎えるように手を合わせて立っていた。そんな彼女をアルフは、敵意を持った視線で睨みつける。だが、その視線を気にもせず飄々とリニスは受け流している様子だった。
「執務官とアルフですか。これは予想外です。てっきり、あなた方は上層で傀儡兵を相手にしていると思ったのですが」
「何を言っているんだいっ!?」
入ってきたクロノとアルフを一瞥して、なにやら考えた後にポツリと呟いた言葉の意味が分からず、アルフは苛立ちながら、リニスに尋ねる。だが、その問いに簡単に答えが返ってくるはずもなかった。
「あなた方には関係のないことです。それよりも―――」
すぅ、とリニスの目が細められる。お客様を迎えるような安穏した雰囲気から肌を刺すような鋭い雰囲気へと変わった。臨戦態勢に入っていることは明白だ。その空気に煽られてクロノはデバイスを、アルフは拳を構える。
「申し訳ありませんが、ここから先は立ち入り禁止となっておりますので、お帰り願います」
「はっ! そんな訳
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