無印編
第二十二話 裏 中 (リンディ、武装隊、アルフ、リニス、プレシア)
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だ。
だが、だが、しかし、向こうから参戦を希望してきたら?
そんな甘い誘惑を肯定するかのようにリンディの後ろに一人の人影が立った。
「リンディさん」
少し高い子どもの声。そんな声を出せるのは、アースラの中では二人だけだ。一人は、翔太。だが、彼は今、医務室で寝ている。そして、もう一人は―――
「なに? なのはさん」
普通なら返事もできないはずの事態に返事をしてしまったのは、先ほどの甘い誘惑が頭の隅に残っていただろうか。そして、なのはは、リンディが望んだ言葉を紡ぐ。
「私も、あそこに行きます」
「―――っ!」
淡々と意思の燃える瞳でまっすぐリンディを見つめながら、なのはは言う。それを受けて、リンディは、彼女が望んでいた言葉なだけに絶句する。当たり前だ。こうも易々とリンディの想像が具現化すれば、絶句したくもなる。
この場合、リンディは、ダメだとなのはの提案を拒否するべきなのだろう。だが、時間がないのも事実。戦況が悪いのも事実。このまま、負けてしまえば、ここら一帯の次元世界が消滅するのも事実。アースラが沈むもの事実。いくつかの事象を挙げてみても、リンディのプライドやもろもろの事情を棚上げにしてでもなのはの提案を肯定するべきだといっていた。
ここが決断時なのだろう。なのはが子どもである。現地住民である。拒否する理由はいくつもある。だが、それ以上に世界を救うという大義名分の下、リンディは、それらの拒否の理由に目を瞑った。
「……お願いできるかしら」
苦渋の決断だった。
だが、なのはは、はそれを慮ったのか、あるいは、状況を理解して最初からそう答えることが分かっていたのか、彼女は、淡々とはい、とだけ答えて、管制塔の後ろに特別に設置してある転送ポートへと足早に向かった。
「なのはさんっ!!」
そんな彼女の後姿にリンディは、一声かけられずにはいられない。それは、巻き込んでごめんなさいという言葉だろうか。いや、それ以上に必要な言葉があった。
「必ず、戻ってきてね」
リンディの言葉に大きく頷いてなのはは、転送ポートへと入る。それを確認してエイミィがキーボードを叩き、転移座標を時の庭園へとあわせ、なのはを時の庭園へと送り込んだ。
送り出したリンディは、戦況が映されたモニターへと視線を向けて、刻一刻と悪くなる戦況を見ながら、なのはが無事に切り抜けられることを祈らずにはいられなかった。
◇ ◇ ◇
アルフは、懐かしいというほど離れていない時の庭園の内部をアースラ執務官のクロノ・ハラオウンと一緒に駆けていた。
アルフが協力したのは他でもない。プレシアが動き始めたからだ。フェイトを放っておくのは確かに気がとがめ
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