無印編
第二十二話 裏 中 (リンディ、武装隊、アルフ、リニス、プレシア)
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無慈悲に容赦なく、最後の言葉を口にした。
「ファイア」
四十七個のフォトンスフィアから毎秒八つのフォトンランサーがクロノに向けて発射される。それが、八秒。つまり、合計三千八のフォトンランサーがクロノを襲っていた。個人に対しては過剰ともいえる火力。いくらクロノが執務官とはいえ、まともに喰らっていれば、非殺傷設定であったとしても、意識を失うことは逃れられないだろう。
三千発を越えるフォトンランサーを放った後、魔法の爆発の衝撃でおきた煙がはれた時、クロノは額から血を流し、ところどころ爆発の衝撃でバリアジャケットが煤けていたりするものの、プレシアの予想に反してそれなりに無事だった。
ほぅ、と感心したような声をあげるプレシア。おそらく、プレシアの言葉から攻撃が来ることを予想してすべての魔力を防御魔法に集中したのだろう。全身から血を流している姿を想像していたのだが、思ったよりも楽しめそうだ。
もっとも、先ほどのフォトンランサー・ファランクスシフトをまともに防御しただけで、ほぼ限界が見えているようなものだが。だが、そのほうが八つ当たりには丁度よかった。
にぃ、と罠に飛び込んできたネズミを愚か者、と罵りながらプレシアは嗤う。
そもそも、ジュエルシードを奪えば、時空管理局が乗り込んでくる。それは予定調和のように当たり前のようだった。ならば、それに対して対策をしないほどプレシアはバカではない。しかも、そのための時間はたくさんあったのだから。プレシアにとってこの部屋はある種の要塞だ。いたるところに刻まれた魔法をアシストする魔方陣。ほぼ無限に魔力を供給するロストロギアに匹敵する時の庭園の動力炉と直結しており、無限に魔法を唱える事が可能となっている。しかも、これでも尚、プレシアはまだ隠し玉を持っている。もっとも、目の前の少年に使う必要はなさそうだが。
それからは、プレシアの狩りの時間だった。先ほどのような大規模な魔法を使うことはなかったが、中級魔法でいたぶるようにクロノに魔法をぶつける。クロノもそれが分かっているのか悔しそうにしながらも、反撃の手立てが見つからず避けることに集中している。もしかしたら、プレシアの魔力切れを狙っているのかもしれない。
だが、それも無駄なことだ。この場所において、プレシアの魔力は無限と言っていいのだから。
しかしながら、そろそろ遊ぶのも飽きてきた。そもそも、プレシアには崇高な目的があるのだ。アリシアとの時間を取り戻すという崇高な目的が。後一歩で、その時間は手に入れられる。だから、もうそろそろ遊ぶのも終わりにしようと思った。そう思って、クロノにとって最期に聞く魔法になるであろうトリガーワードを口にしようとしたとき、プレシアの脳裏に念話が入ってきた。
―――プレ……シア。申し
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