無印編
第二十二話 裏 中 (リンディ、武装隊、アルフ、リニス、プレシア)
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った。
「私は、すべてを取り戻す。アリシアとの過去も未来も、すべてを。そう、こうでなかったはずの世界のすべてを手に入れるために」
それはまるで自分に言い聞かせるような言葉。いや、実際に言い聞かせているのだ。これが、これこそが、アリシアという最愛の愛娘を失っても生きられた最大の柱なのだから。取り戻す、手に入れる。過去を、明日を、すべてを。それだけが、プレシアの望みであり、願いであり、すべてだった。
だが、それを否定するものもいる。
「世界はいつだって、こんなことじゃないことばかりだよ」
いつの間にこの部屋に入ってきたのだろうか。カツン、カツンと足音を立てながら、黒い執務官のバリアジャケットに包まれた少年がプレシアに近づいてきていた。
「それに対して、どう足掻こうが、個人の自由だ」
アリシアを失ったという世界の理不尽をプレシアは受け入れることはできなかった。だから、足掻いた。もがいた。取り戻そうとした。
「だが、それのために誰かを犠牲にする権利はどこの誰にもありやしないっ!!」
それは、彼の宣言だったのだろう。力強い言葉だった。
だが、その言葉をプレシアは受け入れる事ができない。
犠牲? 知ったことではない。何を犠牲にしようとも、利用しようとも、プレシアはすべてを取り戻すのだ、手に入れるのだ。だから、ジュエルシードを使うことで、次元震を起こすことでたくさんの犠牲がでることも承知の上で計画を進めた。すべては、アリシアを蘇らせるという至上の目的のために。
「時空管理局執務官クロノ・ハラオウンだ。プレシア・テスタロッサ。あなたを逮捕する」
すっ、と彼が持っているデバイスを構える。
それに対して、プレシアは、一時、彼が何を言っているのか理解できないように動きを止め、やがて、表情を憤怒に彩られたものへと変える。アリシアと失った時間を取り戻すことを邪魔しようという相手なのだから。それらは、すべてプレシアにとって排除するべき敵だった。
「いいわ、坊や。少し遊んであげる」
プレシアが杖を手に取る。まるで、餌を目の前にした蛇のようにチロリと舌をだし、妖艶に笑うとプレシアは、静かに忠告する。
「だから、これで終わるなんてつまらない真似はしないでね」
―――フォトンランサー・ファランクスシフト。
プレシアの周囲に四十を越えるフォトンスフィアが一気に展開される。それを見て、クロノは度肝を抜かれたように驚いた表情をしていた。彼の反応はある種、当然といえた。その魔力量、魔法の難易度、どれをとっても無詠唱で展開できるはずの魔法ではない。それにも関わらず、プレシアはトリガーワードのみで展開していた。
驚くクロノの反応を面白がるように笑うとプレシアは、
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