無印編
第二十二話 裏 中 (リンディ、武装隊、アルフ、リニス、プレシア)
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かったのだろうか。今まで無表情だったリニスが少しだけ、笑って、ありがとうございます、といった。
それを見届けた後、クロノが急かす様にアルフの名前を呼ぶ。最期の別れが名残惜しいが、それでも彼女はここで消え、アルフはあの世界でフェイトと共に生きていくのだ。だから、ここでお別れ、彼女はアルフの思い出の中で生きていくだろう。そう考え、いい加減に見切りをつけ、リニスに背中を見せたアルフの背後からリニスの最期の言葉が聞こえた。
「ああ、そうだ。前の私が最期に思ったことをあなたに伝えておきます」
その時、なぜかアルフはリニスに対して背中を向けているのに、彼女が感情を持っていないのにも関わらず、リニスが笑っているような気がした。
「『フェイトをよろしく頼みましたよ』」
ああ、当たり前だろう、と心の中で返事をしながら、アルフは待っていたクロノと共に退路を確保するために時の庭園を後にするのだった。
◇ ◇ ◇
プレシア・テスタロッサは苛立っていた。
「どうしてっ!? どうしてなのよっ!!」
目の前の二十個のジュエルシードと緑色の液体に包まれたアリシアを前にして、時の庭園の最下層でプレシアは叫んでいた。心の中では、なぜ? なぜ? なぜ? と自問自答する。理論は正しいはずだ。本物のロストロギアであるジュエルシードもこうして規定個数以上の数が揃っている。それにも関わらず、プレシアの計画通りに進まない。
プレシアの計画通り動いていたならば、既にジュエルシードは閾値以上の魔力を共鳴させ、暴走させ、大規模な次元震を起こしてプレシアたちをアルハザードへ誘っているはずなのだ。それなのに、目の前のジュエルシードはある程度の魔力を共鳴反応で発生させるものの一定値以上の魔力を発生させることはなかった。
自分の数年かけた魔方陣が間違っているのかと思ったが、その可能性は何百というパターンに渡ってデバッグしたはずだ。その可能性は低いといわざるを得なかった。後は、ジュエルシードの封印が解けていない可能性を考えたが、先ほどからプレシアの魔力を外部から与えているのだ。プレシアの魔力は全盛期よりも劣ったとはいえ、限定のSSランクは伊達ではない。アースラにいるのは最高でも高町なのはのSランクが最高のはずだ。つまり、プレシアの魔力で解けないはずがないのだ。
だからこそ、自分の計画が発動しない理由が分からない。
ここまでは順調だった。途中で、自分が作った人形が使い物にならないというアクシデントはあったが、それは即座に斬り捨てることと、計画の修正だけで後は、面白いように上手くいったものだ。まるで、天が、運命が、プレシアにそれを望んでいるように。だからこそ、最後の最後で、こんなことで躓いている事が許せなか
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