無印編
第二十二話 裏 中 (リンディ、武装隊、アルフ、リニス、プレシア)
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ら姿を現したのは、頭から血を流しながら、息を切らせたクロノだった。
「クロノっ!?」
リニスほどの満身創痍ではないとはいえ、かなり酷い怪我だった。急いで近づこうとしたアルフをクロノは手で制する。どうやら、見た目には酷いものだが、自力で動ける程度の怪我だったらしい。
「撤退だ」
どうしてここに? という疑問に答えるようにクロノは端的に事を口にした。
「プレシアは?」
「なのはさんが相手にしている。悔しいが、あんな魔法戦に加勢はできない」
執務官というプライドにかけて地元住民の女の子に頼るしかないという状況は、悔しいのか、吐き捨てるように言うクロノ。なのはという言葉に少し驚いたアルフだったが、心のどこかでは納得していた。なぜなら、リニスをここまでボロボロにできるのは確かにクロノを除けば彼女ぐらいしか思いつかないからだ。
「彼女のためにも退路の確保が必要だ」
「ちょいと待っておくれ」
急いでクロノが行こうとしているのを呼び止めてアルフは、リニスの元へ近づく。
「よっ、と」
アルフはリニスに肩を貸すように起き上がらせた。その際、怪我が痛んだのか、リニスは顔をしかめる。だが、そればかりは我慢してもらわなければならない。こうでもしなければ、彼女を連れて行くことなどできないのだから。
元々仲間だから、という単純な理由で助けるわけではない。彼女にはプレシアのことに関して供述してもらわなければならない。フェイトに罪がないようするにためにも。そう、そのために連れて行くのだ、とアルフは自分に言い訳するようにしてリニスをアースラへと連れて行こうとした。
「……アルフ、私はここに残ります」
それをリニス自身が拒否する。だが、そもそも、彼女に拒否権はない。だから、次の言葉がなければ、アルフは無理矢理にでも彼女を連れて行っていたことだろう。
「プレシアからの魔力供給が切れました。間もなく私は消えるでしょう」
「なっ!?」
リニスの言葉に驚くしかない。使い魔にとって主からの魔力供給は文字通り生命線だ。それが切られた以上、待っているのは、機能停止、使い魔にとっての死でしかない。
「それに、一応は、二度も仕えた主ですし、ここには前の私の分も合わせて思い出が多いですから」
だからこそ、ここに残りたいと彼女は言う。アルフは一瞬、逡巡した後、肩を貸した腕を外し、部屋の壁に寄りかかるようにしてリニスをゆっくりと下ろした。おそらく、自分がリニスと同じ立場であれば、同じようなことを頼んだだろうから。使い魔である以上、それがどんな主であったとしても最期は、主の近くで迎えたいと思うだろうだから。それがたとえ、プログラムされた擬似生命体とはいえ。
アルフの気遣いが嬉し
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