無印編
第二十二話 裏 中 (リンディ、武装隊、アルフ、リニス、プレシア)
[11/16]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
さま捕まえられる可能性が高いからだ。そして、周囲を見渡したアルフは確かにリニスを見つけた。ただし、床に倒れ、満身創痍の状態だったが。
「リニスっ!?」
気絶する前までは、傷一つなかったはずなのに、今はその真逆の状態だ。本当は敵であるはずの彼女に駆け寄る必要はないのに、満身創痍で床に倒れているリニスを目にした瞬間、思わず駆け寄ってしまったのはアルフの中にあるあの懐かしい記憶があるからだろう。
駆け寄ったアルフは、うつ伏せに倒れているリニスを仰向けの状態にする。その過程で、気がついてしまったことにアルフは思わず、ひっ、という悲鳴を上げてしまった。まず、リニスの怪我の状態だ。長袖を着ていたから分からなかったが、左右の腕の関節がいくつか増えており、曲がってはいけない方向に曲がっていた。また、仰向けにしたとき、胸元に付着していたのは赤黒い液体に気づいた。言うまでもなく、リニスの血である。その証拠に彼女の口元は、どこかが切れたのだろう、血が流れた後があったのだから。いや、それよりも顔全体も腫れており、目元には蒼痣になっているところもある。
リンチでも受けたような酷い怪我の様子に生きているのか? と疑問を持ったアルフだったが、そもそも考えてみれば、その問いは愚問だ。なぜなら、使い魔という存在はそもそも死んでいるのだから。彼女たちが死ぬときは、契約の内容を遂行したときか、主からの魔力供給が途絶えたときだけだ。
もっとも、これだけの怪我を負えば回復するのにかなりの時間が必要になることも確かだ。
「……気がついたのですね」
仰向けにされたときの衝撃で、怪我に響いたのか、ひゅー、という薄い呼吸音で懸命に呼吸をしながら、呟くようにリニスが小さく口にする。目があまり開いていないのは目の周りが腫れているためだろう。
「酷くやられたもんだね」
あまりに酷い怪我に顔をしかめながら言うアルフ。
一体、誰にやられたのだろうか? と思ったが、予想したところで意味がない。リニスを倒した誰かは、今ここにいないということは、クロノを追ってプレシアの元へと行ったのだろう。自分は、どうするべきか? と迷ったが、今にも事切れてしまいそうなリニスを目の前にして、プレシアの元へ応援に行くか、ここに残ってリニスを見張るべきか悩んでいた。
「さて、どうしたもんかね?
そんなときだ。時の庭園全体が大きく揺れたのは。まるで、アースラの内部で感じたような次元震のような揺れ。
「な、なんだいっ!?」
だが、それに答えてくれるものはなく、代わりにアルフが感じたのは、プレシアの部屋へと続く通路から人がやってくる気配。まさか、プレシア本人がやってくるのか!? 先に向かったクロノは? と疑問に思っているアルフの前に通路の向こう側か
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ