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リリカルってなんですか?
無印編
第二十二話 裏 中 (リンディ、武装隊、アルフ、リニス、プレシア)
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あまり離れていない位置だった。舐められているとしか思えない行動だが、その怒りは、彼女の逮捕に全力を尽くすことで晴らすべきである。

「武装隊っ! 強襲準備っ!!」

 既に準備は整っているのだろう。逐一の投入などしない。最初から全部隊を投入させる。今、医務室に翔太を運ばせるための局員を呼んでる執務官であるクロノも同時に。この強襲かつ奇襲は時間との勝負で、しかも敵地なのだ。出し惜しみをしている場合ではないことは誰もがわかっていた。

 完全装備に身を包まれた全武装隊が次々と転送ポートの前に整列するのを見届けて、突入の命令を出そうとしたとき、それは起きた。

 ぐらっ、とアースラ全体が揺れる。地上でなら、地震と勘違いしそうな一揺れ。それはたった一度だけで収まった。当然のことながら、次元空間内で地震などありえない。ありえるこんな揺れはたった一つだけだ。

「エイミィっ! 状況報告っ!!」

『艦長っ! 小規模の次元震ですっ! 震源は、時の庭園内部っ!!』

 予想通りの結果だった。この状況で、震源地が彼女のアジト以外に考えられない。そして、このタイミングで原因が考えられるとすれば、信じられないことだが―――。

「―――まさかっ! ジュエルシードを使って? でも……なら、彼女の目的は?」

 次元震は、大規模なものになってしまえば、周囲一体の平行世界を消滅させるほどの威力を持つものだ。それを起こす意味が分からない。ジュエルシードを使って次元震を起こしたところで待っているのは、消滅の二文字だけである。

「アルハザード……彼女はそういっていました」

 不意にリンディの耳を打つ、独り言のようなか細い声。その声の方向を見てみれば、ユーノによって回復魔法を受けている翔太の姿があった。

 翔太の言葉を信じるなら、プレシアの目的はアルハザードである。だが、リンディはその目的が信じられなかった。なぜなら、アルハザードは失われた魔法の都。御伽噺の世界にのみ存在するはずの世界だからだ。しかし、その一方で、状況は翔太の言葉を肯定していた。

 魔法の都、アルハザード。そこには、不老不死、時間逆行といった夢物語にしか思えない魔法の数々が存在したといわれる魔法の都。だからこそ、アリシアという娘を亡くしている彼女の目的に符合する。さらに、アルハザードは次元の狭間に沈んだとされる都だ。ならば、ジュエルシードによる次元震によってたどり着くという推測も立てられる。

 しかし、その考えもリンディは信じられない。状況証拠による推測による推測。常人であれば、考えられないほどの無秩序な計画を前提にした推測だった。だが、もしも、この推測が事実だとすれば、一刻の猶予も許されないことは明白だった。

「本当なのっ!? 翔太くんっ!!」


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