無印編
第二十二話 裏 前 (アルフ、リンディ、
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ィは、プレシアの目的が分かった。最初からリンディなど相手にされていなかった。プレシアは、時空管理局と交渉するつもりなどなかった。最初から狙いはただ一人だったのだ。
―――高町なのは。
プレシアが彼女と翔太の関係をどこで知ったのかリンディは分からない。だが、確かに彼と彼女の関係を知っていれば、翔太になにかあれば、なのはが動くのは容易に想像できるだろう。そして、同時に彼女が手に入れた力について知っているなら尚のことだ。
失策だった。最初からなのは相手と分かっていれば、遠ざけて―――いや、その場合でも何か理由をつけてなのはを連れてきていたに違いない。最初から目的はなのはなのだから。
今は、管制塔から出て行こうとしているなのはをクロノが呼び止めているが、彼女が本気になれば、クロノなど道端に転がる石ころとなんら変わりない。だからといって、このままなのはを行かせて、無策でプレシアにジュエルシードを渡すことはできない。だから、リンディは決断した。
「わかったわっ! ジュエルシードを渡します。ただ、厳重に保管にしてあるので一時間、待ってもらうわ」
『ダメね。五分よ』
「短いわ。三十分」
『十分』
「二十分」
時間について交渉を続けるリンディ。ここでできるだけ時間が欲しいのは確かだった。策を考えるだけの時間が必要なのだから。
『十五分。それ以上は待てないわ』
本当は、保管庫から持ってくることなど、リンディの権限承認さえあれば、五分もかからない。三倍の時間。これで手を打つべきであろう。
「分かりました。十五分で」
『ふふふっ、それでは、十五分後に会いましょう』
策が成ったような不敵な笑みを浮かべてプレシアは通信を切った。隣で行われていた翔太への暴行は、リンディがジュエルシードを渡すことを承諾したときに既に止まっていた。とりあえず、この場はプレシアに完敗だった。ふぅ、と力を抜きながらリンディは艦長席に沈み込む。だが、気を抜いている時間はあまりない。残り十五分で何かしらの策を考えなければならないのだから。
「艦長……」
気遣うようなクロノの声。その言葉は執務官としての言葉か、あるいは、息子としての言葉か。どちらにしても、少しだけリンディの心を軽くしてくれた。だが、同時にリンディの心をがりがりと削る視線もある。クロノの隣にどこか恨みがましくリンディを見てくるなのはの視線だ。
その目は、どうして、翔太をあんな目にあわせた? と言っているようにも思える。それに関しては、素直に謝罪するしかないのだが。プレシアがあんな行動に出るとは予想できなかった、など言い訳にしかならないだろう。
だが、参った。最初は、翔太を攫ってどうするのか、と思っていた。時空管理局にとっ
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