無印編
第二十二話 裏 前 (アルフ、リンディ、
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まさか、人質を傷つけるような行動に出るとは思っていなかったリンディは、同時にいくつも起こった違反に驚きながらも、プレシアを諌めるような口調で、無抵抗の子どもを殴るような非道に激昂し、艦長席の手すりを叩いて立ち上がりながら、叫ぶ。
だが、プレシアは、そのリンディの激昂に対して、まるで喜劇を見たように笑う。隣では、無抵抗な子どもが殴られているというにプレシアは気が狂ったように笑っていた。
『あーはっはっはっ! あんたたちがごちゃごちゃと五月蝿いからよ。素直にジュエルシードを渡せば、この子を殴るのをやめてあげる』
どう? と問いかけるプレシア。
卑怯な、と思うリンディ。だが、それに肯定することはできない。だが、目の前のモニターで繰り広げられるのは、無抵抗な子どもが殴られ続ける残酷なショーだ。思わず、分かったから、やめてくれ、と叫びたくなるのを拳を握り、耐えるリンディ。どうする、どうするべきか、どの手が最善手か、と考えるリンディ。
「艦長っ!!」
プレシアの連絡によって武装隊とのやり取りを中止してきたクロノが、リンディに何かを訴えかけるように声をだす。彼もわかっているのだろう。打つ手が少ないことに。プレシアのいる場所が分かっていれば、クロノや武装隊を突入させることも可能だった。だが、相手の座標が分からない以上、その手を取ることはできない。
『さあさあ、どうするの? かわいそうに、あなたが、ジュエルシードを渡さないから、この子も殴られ続けるわね』
まるでリンディを煽るような口調で言うプレシア。管制塔の職員の中には、モニターに映される残酷なショーに耐え切れなかったのか、モニターから視線を逸らす者もいる。早く決断しなければ、なによりも、翔太の身も危ないだろう。だが、どうする?
リンディの頭の中でいくつかの可能性とその先の結果を読み出す。だが、どの手もメリットよりもデメリットのほうが大きい。
『さあ、彼を助けたかったらジュエルシードを渡しなさい』
まるで悪魔の囁きのように続けるプレシア。その誘惑に乗りそうになる自分を必死で律するリンディ。だが、その悪魔の囁きに乗ってしまう者が一人だけいた。
「本当に? ジュエルシードを渡せば、ショウくんを助けてくれるの?」
その言葉に、その場にいた全員の注目が集まる。その言葉を発したのは、この管制塔の中にいるたった一人の子どもだ。つまり、高町なのはに他ならない。彼女は、翔太への暴行シーンが衝撃だったのか、どこか虚ろな目をして、請うような声でプレシアに問いかける。その問いに、プレシアは会得したような笑みを浮かべた。
『ええ、勿論』
そのプレシアの言葉を聞いて、ゆらぁ、と幽霊のように身体を動かすなのは。
ここにきて、ようやくリンデ
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