無印編
第二十二話 裏 前 (アルフ、リンディ、
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緑茶を口にしながらことが動くのを待っていた。
―――もしも、この状況がプレシアの策略なら大したものね。
一度、大きな事を起こしておきながら、次に何かあると思わせておいて、何も行動を起こさず相手を疲弊させる。疲弊しなかったとしても、一度ピークに達した緊張感は一時にしても平時よりも下がってしまう。そこを突くつもりなのかもしれない。
様々な策略の効果と相手の考えが伺えるが、どれも決定的ではなく、分かっているのは相手にイニシアチブを取られているということだけだ。
あまり芳しくない状況を考えて、はぁ、と心の中でため息を吐くリンディ。表立ってため息を吐かない、吐けないのは、彼女がこの艦内でのトップだからだ。トップがため息などはいていては、組織全体に伝播してしまう。それでは、士気を保つところではない。もしも、この状況で攻め込まれでもしたら、立て直すのにそれなりの時間が必要だろう。
気を落ち着けるためにももう一杯、と空になった湯のみを手に持ち、再度、砂糖が飽和限界まで入ったお茶を作ろうとしたリンディの耳にエイミィの鋭い声が響く。
「艦長っ!! アンノウンからの通信、来ましたっ!!」
正体不明の相手からの通信。状況を考えるに相手はたった一人しか思い浮かばない。
「繋いでちょうだい」
お茶を再度作るために立ち上がろうとした腰を再び下ろして、エイミィに通信を繋ぐように指示する。その場にいる全員が緊張した面持ちで正面に展開されるモニターに注目する。その注目の中、通信がつながれ、モニターに現れたのは、一人の女性。リンディが資料に添付された顔写真よりも若干、年を取っているように思えるが、それでも、モニターに映った彼女は間違いなくリンディたちが連絡を待っていた相手―――プレシア・テスタロッサに相違なかった。
『こんばんはぁ、アポイントメントもなしにごめんなさいね』
モニターに現れたプレシアは、どこかの暗い室内の中、嗤いながら通信に現れた。嗤っている。その状況にリンディとしては驚嘆を覚える。相手はプレシアという個人であるはずなのだ。個人で時空管理局という屈指の組織に相対しているにも関わらず嗤えるプレシアに恐怖にも似た驚嘆を抱くのだった。
だが、アースラの艦長として彼女の恐怖に屈するわけにもいかない。
「そうね、今度からは、アポイントメントをお願いするわ」
嗤うプレシアに対して、微笑みのポーカーフェイスで様子を伺うリンディ。微笑を浮かべながらも、リンディはプレシアの様子をつぶさに伺っていた。どんな変化も見落とさないように。
しばらく二人のにらみ合いのような、距離を測るような沈黙を保つ。お互いに様子を伺っているのだ。切り出すタイミングを。だが、そのタイミングを得たのは、リンディでもプ
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