無印編
第二十二話 裏 前 (アルフ、リンディ、
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かったのは彼らの優しさだろう。
「話は聞いての通りです。翔太君の捜査には全力を尽くしています」
「確実に翔太くんを助けてくれるんでしょうね?」
それは、まるで時空管理局側の態度を試すような恭也の鋭い視線だった。だが、リンディとて伊達に長年、時空管理局に勤めて、提督という地位にまで出世したわけではない。常人であれば、怯みそうな視線を微笑みと共に受け流し、「当然です」と答えた。もっとも、これは社交辞令ではない。翔太は魔法の世界である管理世界には関係なく、善意で手伝ってくれた少年なのだ。できる限り助けたいと思うのは当然だ。
しばらくにらみ合うような無言の時間が続くようだったが、やがて根負けしたのは恭也だった。
「分かりました。あなた方を信じます。翔太くんの救出をよろしくお願いします」
「はい、分かりました」
さて、とりあえずの話は終わった。あとは彼らをどうするか、である。彼らは翔太の両親のように直接関係はない。つまり、アースラにいなくても問題がないということである。この先は、きっとアースラとプレシアとの対決になるだろう。魔法が使えない彼らがいても、言い方は悪いが、この状況で部外者は、邪魔になるだけだ。だから、進展があれば、そのとき連絡するという形を取ろうとしたリンディの耳になのはの呟くような声が聞こえた。
「……ショウくんのことが一番早く分かるのはどこ?」
今まで俯いて、暗い表情をしていたなのはがポツリと漏らした言葉。彼女も心配で仕方ないのだろう。あの事件の後の部屋の様子を知っている身としては、容易に想像できることだ。それは、なのはの処遇に関して説明したとき、あの部屋の様子を映した映像を見た恭也も同じ思いだったのか、リンディと視線を合わせること数秒。お願いします、といわんばかりに軽く頭を下げていた。
翔太の誘拐に関しては、アースラ側の落ち度があったことも事実だ。全部、集まったことで気が抜けていたのかもしれない。完璧を求めるなら、彼らの安全も確保するべきだったのだ。そんな負い目があるからか、リンディは、大人しく席に座っておくことを条件に管制塔にいることを特別に許可したのだった。
それから、無駄な時間が過ぎていく。状況は待つしかないとはいえ、何も動きがない状況で待ち続けるというのは、非常に辛いものだ。アースラの艦内でも最初の三十分程度は、緊張感が保たれていたが、今ではその緊張感を保つことも難しくなってきている。その空気を読んだのだろうか第一種警戒態勢から準第一種警戒態勢へと移行させた。少しは気が休まる時間ができることだろう。しかしながら、武装隊や後方支援などの部隊はいいものの、管制塔のメインスタッフたちは今も休むことなく動いていた。
その管制塔の一番上の艦長席では、リンディが自家製の
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