無印編
第二十二話 裏 前 (アルフ、リンディ、
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――プレシアの目的はなに?
それは、当然のことながらアルフが考えたことと同様のことだ。
翔太という手札を手中に収めたプレシアだが、そのカードはアースラにとってエースでもなければ、ジョーカーでもない。つまり、こちら側にとって切り札足りえないのだ。確かに子どもで地元住民ということを考えれば、できるだけ巻き込みたくない類の人間だが、管理内世界の人間に比べれば、優先度は下がる。
もっとも、翔太の重要度が高かろうが、プレシアの要求に乗ることなどできやしない。なぜなら、それが弱みになるからだ。アースラだけではなく、時空管理局全体の。一度、犯人の要求に屈してしまえば、それは汚点で終わってしまう。他の犯罪者がもしかしたら、自分でも、と思ってしまえば最悪だ。ダムに空いた小さな穴のようなアースラのたった一回の行動で、時空管理局全体が瓦解してしまうかもしれないのだ。それだけは避けなければならない。だから、アースラは決してプレシアの要求に応えることはないだろう。
―――それはプレシアも知っているはず。ならば、なぜ?
覚えている限りの過去の誘拐事件等の調書等から動機を推測してみるが、しばらく考えた後、リンディは、プレシアの動機を推測することをやめた。考えても仕方ないと言うことが分かったからだ。そんな中、確信していることが二つある。
一つは、少なくとも誘拐された翔太が危害を加えられることはないということだ。誘拐という事件の特性上、人質の安全は絶対だ。誘拐事件にとって人質というファクターは、交換するものという最重要なもので、それに危害が加えられれば、せっかくの人質も意味を成さないからである。魔法が実在する以上、変身魔法や幻惑魔法等の心配も考えられるが、前者は本人しか知らないことを聞くのが当たり前になっているし、後者に関しては、映像を介した場合、揺らぎが発生するため、やはり見破る事が可能だ。
そもそも、通常、誘拐というのは綿密な計画の下に成り立っている。殺害するということは、確かに証拠を残さない上では、有効な手段かもしれないが、取り返しがつかず、ばれてしまえば、綿密な計画のために浪費した時間と金が水の泡になるのだ。よって、人質は基本的に傷つけないのが管理世界でも主流ではある。
もう一つは、焦らなくても、いずれプレシアのほうから連絡を取ってくるということである。彼女が欲しているのは、アースラの艦内にあるジュエルシードだ。それを交換するための交渉を行うためには、必ずこちらとコンタクトを取らなければ、始まらないからである。こちらから連絡を取る手段がない以上、彼女からのコンタクトを待つしかないだろう。
ちなみに、プレシアのアジトと考えられる時の庭園だが、アルフから聞き出した直後にその座標を調べたが既にその座標には何もなく、別の
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