無印編
第二十二話 裏 前 (アルフ、リンディ、
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アルフがリニスのバインドから抜け出したのは、プレシアが姿を消した五分後のことだった。
熟練者のバインドであれば、強制的な解除など不可能に近い拘束魔法を五分で破壊したのだから、アルフとしては誇るべきことなのかもしれない。もっとも、これはリニスがアルフの師匠であり、魔法のプログラムを知っていたからこそ、できた芸当である。もし、他の魔導師のバインドならば、倍以上かかったかもしれない。しかし、いくら師匠の魔法でプログラムを知っているからといっても、五分という時間は快挙である。
しかしながら、それを誇るような余裕をアルフは持ち合わせていなかった。
「フェイトっ!!」
彼女がフェイトと呼ばれると情緒不安定になることも忘れて、アルフは心配そうな表情を浮かべてフェイトに駆け寄った。
倒れこんだフェイトを抱きかかえるアルフ。見た目の上では、外傷は見当たらない。だが、その心の中までは分からない。フェイトは何も映さない虚ろな瞳で虚空を見つめているのだから。まるで生きることを放棄したようにフェイトは、アルフが呼ぶ名前にも何も反応しなかった。これでは、まるで生きた人形のようだ、とあの思い出したくもない糞婆の言葉を思ってしまった。
そんなバカな考えを頭を振り、追い出しながら、次の行動をアルフは考えていた。
フェイトのことは気がかりだ。このままにはしておけない。だが、それと同じぐらいに気になるのは、翔太の行方だ。どうして、プレシアが翔太を誘拐する必要があったのか、アルフには分からない。確かに翔太は、プレシアが欲していたジュエルシードを集める手伝いをしていたが、それだけだ。ジュエルシードそのものを持っているわけでも、ジュエルシードを管理している時空管理局にとって重要な人物であるわけでもない。翔太を誘拐したところで彼らに何も旨みがないはずなのだ。
そして、最後に気になるのはバインドを解く直前に聞こえた叫び声だ。あの声は忘れもしない。あの白い魔導師―――高町なのはのものである。少し気になったアルフが窓の向こう側を見てみると、そこに佇んでいたのは、白いバリアジャケットに身を包まれ、幽鬼のように薄い存在感で宙に浮かんでるなのはの姿だった。もしも、アルフが魔法の存在を知らなければ、今のなのはを幽霊と勘違いしていてもおかしくはない。
見開かれた瞳は、虚空を見ており、その小さな口からは、何かをぶつぶつと呟いているように思える。口の形から察するに翔太の名前を呼んでいるようにも聞こえた。
―――まさか、プレシアが誘拐するところを見たのかい?
それは、なのはにとってどれだけの衝撃か、アルフには分からない。ただ、日頃の様子を伺っていれば、彼女が翔太になついているか分かる。それに、彼女と最初の接触で、敵に回ったフェ
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