無印編
第二十二話
[10/16]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
、猫耳の女性は一切手抜きをしなかったのだろう。本当に容赦なく殴ってくれたものだ。それを少しサッカーで遊んでいるぐらいの小学生が受けたのだ。痛くないわけがない。むしろ、骨が折れていないか気になる。
「えっと、えっと……そ、そうだっ! 病院っ! 病院に行かないとっ!!」
「いや、それよりも、僕のほうが早いよ」
なのは、ちょっとずれて、となのはちゃんを少しだけ横にやって入ってきたのは、ハニーブロンドの髪を持つ男の子であるユーノくんだった。彼が僕に手をかざすと緑の魔力光が僕を包み、少しずつ痛みが引いてきた。
「回復魔法だよ。専門の人に比べると回復力は低いけど大丈夫だと思う。今、クロノが、医務室の人を呼んでるから、少しの間、僕の魔法で我慢して」
「いや、十分だよ。ありがとう……さっきよりも、かなり痛みが引いてきた」
少しだけ余裕ができた僕は、周りを見渡す。確かにここはアースラの内部で、先ほどジュエルシードと思えるジュラルミンケースを渡していたリンディさんは小さな窓枠を見て何か指示を飛ばしていた。おそらく、プレシアさんを追うために指示しているのだろう。まさか、そのままジュエルシードを渡すわけがないのだから。
ユーノくんの魔法のおかげだろう。かなり痛みが引いてきて、僕以外のことにも注意が向けられる余裕ができたとき、アリシアちゃんはどうなったんだろう? と思い出した。彼女は、プレシアさんが現れたとき、あんな状態になっていたのだ。どうなったのか、と気になるのは当たり前のことだろう。
「ねえ、そういえばアリ―――」
彼女の行方を傍で治療してくれているユーノくんかなのはちゃんに聞こうと思ったのだが、その途中で、突如、ガタガタガタとアースラ船内が揺れる。
「エイミィっ! 状況報告っ!!」
『艦長っ! 小規模の次元震ですっ! 震源は、時の庭園内部っ!!』
「―――まさかっ! ジュエルシードを使って? でも……なら、彼女の目的は?」
突然、地震のように揺れた艦内は慌しくなり、近くで指示を飛ばしていたリンディさんが慌てたような表情でエイミィさんに状況を確認していた。その内容を細々と聞いていた僕は、リンディさんの独り言も聞いていたのだ。そして、あの場所で聞いた彼女の目的を口にしていた。
「アルハザード……彼女はそういっていました」
僕が伝えた言葉にリンディさんは、驚いたような表情をする。
「本当なのっ!? 翔太くんっ!!」
鬼気迫るというような感じでリンディさんは近づいてきて、僕に問いただしてきた。
「え、ええ。そこで、アリシアちゃんとの時間を取り戻す、と」
僕には意味のわからない単語の羅列だったが、リンディさんたちのような魔法の知識を持っている人からしてみれば
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ