無印編
第二十二話
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のは知っていた。あれは願いをかなえるようなものだ。つまり、ジュエルシードに目の前のアリシアちゃんの蘇生を願うのか? いや、ユーノくんの言葉によると人の願いは確かに大きな力を与えるけど、どうしても歪曲した願いになってしまうと聞いている。それに、プレシアさんが口にしたのは、それだけではない。
―――アルハザード。
その名前が示すものを僕は知らない。如何せん、魔法側の知識が低すぎるのが問題だ。しかし、彼女に直接問いかけても答えが返ってくるとは思えなかった。とりあえず、僕としては分かる分からないはともかく、知りたいことは知れた。
そう、少なくとも、僕は僕自身の安全を確保しなければならなかった。今の会話でプレシアさんの目的は、ジュエルシードと分かった。これで、もしも、僕の身体なんかであれば、実験とかに使われて身の危険を感じなければならなかったが、目的がジュエルシードならば、少なくともアースラと交渉するまでは、僕の安全は確保されているだろう。人質は無傷でなければその価値を下げるのだから。
「プレシア」
さて、僕にできることは、このまま大人しくしておくことか、と床に転がったままじっとしたのだが、しばらくした後、コツコツという床を叩く音の後、抑揚のない声がプレシアさんを呼んでいた。僕が引きずられた通路の奥から登場したのは、プレシアさんと一緒に現れていた猫耳の女性だった。
「準備が整いました」
「そう。分かったわ」
先ほどまでの高笑いはどこへやら。真面目な顔になったプレシアさんは猫耳の女性と入れ違いになるように、僕の横を通って、通路の奥へと消えていった。
「大丈夫ですか?」
そういいながら、僕を起こしてくれる猫耳の女性。僕は、彼女の突然の行動に驚いてしまい、思わずありがとうございます、と口にしていた。
起こされて座ったままの僕と傍に立ったままの猫耳の女性。僕も彼女も話さないものだから、ひときわ大きなシリンダーの中で眠るアリシアちゃんの気泡が浮かび上がるボコボコという音だけが周囲を支配していた。誘拐犯と誘拐された身。とても気まずい雰囲気だった。しかし、それを感じているのは僕だけなのだろうか。佇む猫耳の彼女は、涼しい顔をして、僕の隣に立っていた。
なんだか、緊張している僕のほうがバカらしくなって、力を抜き、不意に気になっていたことを尋ねてみようと思った。
「あなたが、アルフさんに魔法を教えたというのは本当ですか?」
「ええ、本当です。本来であれば、私はフェイトの教育係だったのですが、途中で使い魔になったあの子にも教えました」
「フェイト?」
聞きなれない名前に僕が思わず問い返すと、彼女はやはり顔色一つ変えずに衝撃の事実を告げた。
「ええ、あなたがアリシアと呼ぶプ
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