萌芽時代・出逢い編<中編>
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うに、一族の中でもかなり強い部類には入る。大分強くはなったけど、まだ上には上がいるからね。
「幼い頃からずっと修行してきて、今じゃ一族の大人達でさえ兄さんには敵わないんです」
「う、うん」
弟君は一体何が言いたいんだろう?
よく分からないから、口を挟む様な事などせず、黙って話に耳を傾ける。
「でも、あの日。あなたは任務帰りであったとはいえ、兄さんをいとも簡単に一蹴した」
「いや、そんなつもりじゃ」
くすくす笑う弟君。
「兄さん、よっぽど悔しかったみたいで」
今まで以上に修行に身が入っていますよ。
さり気無く付け加えられた一言に、胃の辺りが重くなる。
あれ? なんかどんどん袋小路に追い詰められてね? 自分的にはもう二度とあの黒髪少年(兄)とは関わらないつもりだったのに。
押し寄せる不吉な予感に、眩暈がしてくる。
なんだこの嫌ーな感覚。今までどころか前世でも経験したことがないぞ。
「当面の目的は早くあなたに追いついて、対等な存在として対峙する事だそうです」
「……オレじゃなくても強い忍びなら他にもいるだろうに」
――どうしよう、完全に目を付けられてた。頭を抱えたい気分だ。
妹が出来たと浮かれていたら、気づかぬ所で未来の敵を生産していたみたいです。
「いずれ兄さんがあなたを倒すそうですから、それまで誰にも負けないでくださいね」
「肝に銘じておくよ。じゃあね、弟君」
又聞きとはいえ、自分に対して敵意バリバリな相手と顔を合わせるほど、私はお気楽な性格をしていない。
ここに近寄ってくる気配を察して、瞬身の術をかける。
うちはの子に関わってしまったけど、あの兄弟じゃ……ない、よね?
嫌な予感はまだ消えないが、取り敢えず、さっさと集落に帰ってミトに癒されよう。
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