萌芽時代・出逢い編<中編>
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耳飾りである……確かに綺麗だとは思うけど……。
「ううん。確かに綺麗だとは思うけど、これはちょっと……」
「おや。ご不満かい?」
「妹は赤い髪なんだ。これじゃねぇ」
赤と赤では少しばかりね。
首を傾げていると、どうやら復活したらしい弟君が声をかけて来た。
「だったら、これなんかどうです?」
弟君が指差していたのは、透き通った翠色の結晶を連ねて作った首飾りだった。
光を浴びてキラキラと輝いている様がとても綺麗で、思わず手に取って眺めてみる。
「それねぇ……。流れの商人が珍しい鉱石だっていうから、取り敢えずうちの店でも扱ってはみたんだけど、どうにもうちはの子達には不評でね。在庫のほとんどを別の店に流しちまったから、もうそれしか残ってないんだよ」
けど、お眼鏡に適ったようじゃないか。
ふふふ、とお姉さんが私を見て、満足そうに微笑む。
確かにお姉さんが言う様に、私はその首飾りに心を奪われていた。
結局。
私は自分とミトと扉間の三人分、その翠の首飾りを購入した。
「いや〜。付き合ってくれて悪いね、弟君」
「いいえ。僕も楽しかったです」
結局、彼はミトへのお土産を選ぶのを手伝ってくれた。
幼い今でさえそうなのだから、これから大きくなったらその紳士っぷりで、さぞや女性にモテる事だろう。顔も格好いいしね。
「兄が来るまでお話しできて僕は嬉しいのですけど、いいんですか?」
「まあ、念には念を入れてね」
特異な血継限界持ちの子供は、実はこういう地区でこそ狙われ易い。
こうして弟君にくっついて彼のお兄さんを待っているのは、そう言った事を防ぐための予防策だ。
「オレにも弟がいるんだけどさ、昔空区で誘拐されかけたことがあってね」
あの時は柄にも無く焦った物だ。
勿論すぐに見つけ出して、実行犯にはこの世の物とは思われぬ恐ろしい光景を幻術でエンドレスでお見せして、二度とそんな事が出来ない様にトラウマを植え付けてやったが。
因みに幻術の内容は、某・日本恐怖映画永遠のヒロインが迫って来て、最終的には彼女の這い出してきた井戸の中に引き摺り込まれるといったものである。
いやあ。あの幻覚の出来は作った自分が本物と紛うほどにおっかない物だった。
試に自分にかけてみたのはいいけれど、暫くの間、怖くて井戸に近寄れなかったほどには。
「兄さんは……」
「ん?」
不意に少年が囁く。
密やかな声は、聞き耳を立てなければ通りを吹き抜けていく風に紛れてしまいそうだった。
「兄さんは一族の中でも五指に入る忍者なんです」
「へぇ……」
まだ幼いのに、それは凄いものだ。
斯く言う私も千手の一族の中で次期頭領の呼び名が示すよ
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