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木の葉芽吹きて大樹為す
萌芽時代・出逢い編<中編>
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「最初こそはびくびくしててあまり話してくれなかったんだけど、暫くしているうちにオレに向かって笑いかけてくれる様になってさ! その笑顔がもう、可愛いのなんの。胸がきゅんとしちゃうね!」
「随分、その女の子に夢中みたいだな」
「そりゃそうだよ。今まで周りにいたのは可愛げの無い野郎ばかりだったからね。もう癒されまくり」

 湯のみに入ったお茶を啜りながら、しみじみと呟く。
 呆れた顔をした佐助さんが、お茶屋のお姉さんが持って来てくれた三色団子にぱくついた。

「それで? その子、名前はなんて言うんだ?」
「ミトだよ。猿飛殿も、会ったら絶対見惚れる事間違い無しだね! 今も可愛いけど、大きくなったら物凄い美人になる事間違い無しだ」

 そう。この度千手の家で預かる事になった少女の名は、うずまきミト。
 なんでもチャクラ量の多い事で有名なうずまきの一族でも、群を抜いて大量のチャクラを有する事から、彼女の身を案じた祖父(うずまきの長老殿)が千手に預ける事を思いついたらしい。
 生命の鮮やかさを象徴する様な赤い髪に、灰鼠色の瞳を持つ、妖精の様に可憐な美少女である。

 最初こそ肉親と離れ慣れない土地に来たせいで引っ込み思案だったが、長い赤毛を綺麗にお団子に纏めて上げたら、私に物凄く懐いてくれた。
 今じゃあ「柱間様」と私の事を呼びながら、後ろを付いて来てくれる。

「はいはい。そりゃあ良かったな、将来の可愛い嫁さん候補が出来て」
「何言ってんのさ、猿飛殿。ミトは妹だよ。もう、オレの目が黒いうちは誰の嫁にも出さん! って気分だね! 娘が出来たらきっと猿飛殿も分かるよ」
「そーかよ」

 あれれ、猿飛殿が死んだ魚の目になってる。
 可笑しいな、ミトの溢れんばかりの可愛さを精一杯伝えてみれたと思ってたのに。

「今朝なんて、オレの部屋に今朝摘んだばかりのお花を持って来てくれたんだよ。羨ましいだろう!」
「いててて! はーなーせー!」

 生返事しかくれない猿飛殿の首に片腕をかけ、空いた手でこめかみを拳骨でぐりぐりする。
 大して痛そうに思えない叫びを上げながら、猿飛殿が首に回していた私の腕を引離した。

 痛そうに首元を擦りながら、猿飛殿はやけにじっとりとした視線で私を睨みつけてくる。

「全く……。つくづく思うが、お前は本当に任務中と普段との差が激しすぎるぞ」
「オレに言わせればこっちの方が素なんだけどね。シリアスモードを長い間続けるとほんと肩凝るわ」

 ごきごきと首を回す。随分と肩が凝ってるんじゃないかな、こりゃ。
 まあ、普段重たい鎧やら甲冑やら付けて走り回ってるんだもん、そりゃあ肩も凝るだろう。

「聞いたぞ。この間の戦で随分と活躍したそうじゃないか。この空区でもお前の名があちこちで囁
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