第2章 真の貴族
第20話 フリッグの舞踏会
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う事で、多分、相場程度の金額だったのでしょう。
そして、モンモランシから受け取った小瓶をキュルケとタバサのふたりに差し出す俺。
そうして、少し紅と蒼のふたりを見つめた後に、
「そうしたら、折角、モンモランシ嬢が香水をフリッグの舞踏会に間に合わせてくれた訳ですし、これを付けてパーティに参加しますか」
……と告げたのでした。
尚、上手く逃げ切った心算の俺でしたが、残念ながらキュルケはそんな甘い女性などではなく、俺の服装に関しては、結局、ハルファスに用意して貰った黒のタキシードで許して貰う事に成りました。
それにしても、タキシードと言うのは、確か十九世紀末頃に広まって来た服装のはずです。そして、もしそうだとすると、このキュルケと言う少女のセンスは、かなり未来の洗練されたセンスと言う物を持っていると言う事なのかも知れませんね。
少なくとも、俺のファッションセンスとは天と地ほどの差が有る事だけは理解出来ました。
但し、似合いもしないタイまで装備させられて仕舞いましたが……。
☆★☆★☆
「なぁ、忍。なんだよ、その妙な格好は?」
普段通りの青いパーカーとジーンズ姿の才人くんが、左手に元無銘の刀。現在、新たに蜘蛛切りと言う銘を得た日本刀を携えて立っていました。
……って、おいおい。何か情報に齟齬が生じているような気がするのですが。
「妙な格好って、このパーティは正装で出席しろと、キュルケに無理矢理着せられたんやで、この服装は」
そんな才人からの問い掛けに、少し言い訳に聞こえるような台詞を口にする俺。
……やれやれ。どうやら、これは、キュルケに上手く乗せられて仕舞ったと言う事なのですか。
つまり、タバサを着せ替え人形代わりにする事が出来なかったから、俺を代用品としたと言う事。
まして、才人くんが言うように、タキシードに蝶ネクタイなど、俺に似合うとも思えないので……。
見事にお仕着せの衣装に身を包んだ、ヤケにひねた七五三に向かう子供状態。それが、現在の俺を他人視線で見た時の印象だと思いますから。
それに、そもそも、このパーティにネクタイなどと言う代物を締めて出席しているのは俺だけですからね。
もっとも、ネクタイはルイ14世の時代ぐらいに登場する物のはずですから、西欧風の封建時代が続いているこの世界では未だ登場していない可能性も有ります。その事に、最初に気付かなかった俺の方がマヌケだったと言う事ですかね。
そう歴史的事実にようやく記憶が到達した後、確認の為に周囲の観察を行う俺。
間違いない。少なくとも、ネクタイが正装の一部に加えられている時代ではないと思いますね。周囲の男子生徒達の服装を見る限りでは。
「へえ。でも俺に
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