第2章 真の貴族
第20話 フリッグの舞踏会
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た状態とは言い難い雰囲気を発しているので、ここはさわらぬ神に祟りなし、と言う形で逃げ出したい気分でも有るのですが。
「いや、知らない。……と言うか、ルイズが飼っている犬と言うのを、俺は見た事が無いから、判らないが正解やな」
そう当たり障りのない答えを返す俺。
それにしても、ここの女子寮って、ペットはオッケーなのでしょうか。……と言うクダラナイ疑問を思い浮かべながら。
いや、ルイズの使い魔は人間ですからその範疇には収まらないけど、猫やネズミ。それに蛇なんかを使い魔にしている連中も居ますから、ソイツらをペットと同じと考えるのなら、ペットと一緒に住む事も大丈夫なのかも知れませんか。
「知っているわよ。だって、シノブが持っているカタナの持ち主の事を聞いているんだから」
しかし、相変わらず、不機嫌な様子でそう続けるルイズ。
……って、この刀の持ち主と言う事は、
「才人なら、アソコでキュルケとワルツを踊っていますが……」
俺が指し示す先には、先ほどキュルケに因って拉致られた才人が、イマイチ様にならないステップでワルツを踊り始めたトコロで有った。
「あんの馬鹿犬!」
その姿を見たルイズから巨大な火柱が上がった。
いや、実際はそんな事はないのですが、彼女が周囲に与えた雰囲気が、そう言う雰囲気であったと言う事なのですが。
そのままの勢いで俺の横を通り過ぎて、一気に才人とキュルケに近付こうとするルイズ。
……って、そんな感情のまま近付いて行ったら、逆効果にしかならないでしょうが。今の貴女の気をマトモに浴びたら、大抵の男は逃げ出しますよ。
刹那。彼女が俺の横を通り過ぎようとした瞬間、それまで感じた事の無い甘い香りがほのかに鼻腔をくすぐる。
えっと、この香りは……。
「なぁ、ルイズ」
俺の横を通り過ぎようとするルイズを呼び止める。
振り返ったルイズの背後に、巨大な何かが仁王立ちに成っているような気がしたのですが、おそらく、これは気のせいでしょう。深くツッコむと生命まで危険に晒しそうな雰囲気ですから、今は出来るだけ考えないようにしましょう。
怒った女性には逆らわない方が良いと、俺の本能が告げて居ますから。
「何よ。急いでいるんだから、早く言いなさい」
思わず怯み、何の用事もないです、すみません。と言いそうになる弱い心を叱咤激励して次の言葉を探す俺。
そもそも、向いてない仕事ですよ、これは。いくら、陰陽のバランスを取る為とは言ってもね。
そして、
「モンモランシの香水を付けてくれているんやな、ありがとう」
……と言った。もっとも、その香水の香りに気付いたのも、怒りを発した彼女の体温が上昇し、鼓動が早くなったからなのでしょう
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