第2章 真の貴族
第20話 フリッグの舞踏会
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「それで、そのフリッグの舞踏会と言うのは、正装で出席すべきモンなんやな?」
現在は五月、第一週、ユルの曜日。つまり、極楽鳥ならぬ、不死鳥の再生の儀式が行われた日の翌日。
その日のお昼休みです。
そんな、緊張感のカケラもない俺の質問に対して、タバサはひとつ首肯いただけだったのですが、大して積極的な雰囲気などでは無く、片やキュルケの方は、妙に積極的な雰囲気で強く肯定しました。
確かに、キュルケに取っては彼女を女神のように崇めている男子生徒達との交流を深めながら、更に新しい信者を得る為には、パーティは重要なイベントと成ると言う事なのでしょう。
問題は、我が蒼き姫君の方ですね。パーティなんぞにまったく興味を示さない貴族の姫君と言うのは、少し問題が有ると思うのですが。
普通の貴族の姫君ならば、なのですが。
普通は将来の為に知己を増やす重要なイベントのはずなんですよ、貴族に取ってのパーティと言うイベントは。
そもそも、貴族の奥方と雖もずっと遊んでいる訳ではないはずです。良人の為にサロンを形成して、社交界に流れる情報の把握などを行いつつ、他の貴族の動向を探る。などと言う結構重要な仕事が待っていますし、そんな仕事をこなすには、矢張り、かなりの知識と、そして広い……、良人とは違う独自の人脈を持つ必要も有ります。当然、本人の社交性や政治力も必要になって来ますしね
もっとも、タバサの目的……将来の夢からすると、あまり他者の記憶に残り過ぎるのも問題が有るのですが。
何故なら、彼女の目的は貴族として生きて行く事では無く、母親の状態を元に戻し、ガリアの目の届かないトコロで平穏に生きて行く事。
その為に俺に頼んだのは、自らの母親の状態を回復させる事のみで、非業の死を遂げた父親の仇討ちに関しては考えていない、と言い切ったのですから。
…………。おっと、この部分は未だ情報不足ですし、この部分をあまり嗅ぎ回ると、もっと深い闇のようなモノに到達する可能性も有る。
未だ、先走って考えても仕方がない部分に成りますか。
現状では、ガリアの現王家の考えが読めない以上は……。
そうしたら、先ずは目先の問題について、ですか。
そう考え、視線を、妙に霊力の籠ったキュルケに戻す俺。
う〜む。しかし、正装ですか。ネクタイなどウザイだけですし、そもそも、ネクタイを締めているのか、首を絞めているのか判らなくなる時が有るぐらい俺には縁遠い代物ですから。ネクタイと言う物は。
更に言うと、燕尾服などゴメンですし、モーニングに関しても右に同じ。
矢張り、向こうの世界から着て来た黒の学生服姿で良いかな。それ以外を着た俺自身の姿を想像出来ま
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