大人だけの時間
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し、越えさせるつもりだって全くない』って返してね」
「その後に二人で拳同士をぶつけ合っていたな」
「そうですね」
「それはなんというか……」
「ふふっ。二人とも、とてもたくましくなりましたね」
シェラザードは少し呆れて、美香は嬉しそうに笑った。反応が真逆である。
「でも、それって兄弟っていってもいいのかしらね?」
「けど、本当に仲はいいぞ」
「それはわかるわよ」
翔夜と玲音の仲のよさは全員が認めるところだ。
「それと好きな人はいないのかって聞いたけど、二人ともいないって答えたんだよね」
「玲音はともかく、翔夜君も恋愛はまだなのね」
「翔夜君は学校では手加減をして、目立たないようにしているらしい」
「うわ。そんなことまでしてるの!?」
「はい。でも大丈夫ですよ。なんていったって私と悠人さんの子供なんですから」
「そうだね。美香」
「はあ。翔夜君はいいわねー。玲音ももう少し優しければ……」
全面的に翔夜のことを信頼している二人とは違い、シェラザードは玲音のことが心配そうに首を捻った。
そんなシェラザードを見て、健太は笑いを堪えながら口を開いた。
「玲音は無愛想ではなくて不器用なんだってな、悠人さん」
「はははっ。そうでしたね」
「今度はなんですか?」
「私たちにもわかるように説明しなさいよ」
再び理解できない話をされて、早く聞きたそうである。
「いや、な。翔夜君は家事とかもできてモテそうなのに、家の玲音は駄目だって話したら、悠人さんが『玲音君は本当は優しいからね。だから無愛想なんかじゃないと思うよ』って言ってくれたんだ」
「そのあとに翔夜も『玲音は無愛想なんかじゃないよ。ただちょっと不器用なだけだよ』なんて言ったんだよ」
「あはははっ! なるほどね。だから無愛想ではなくて不器用≠ネ訳ね」
「でも、私は玲音君にぴったりな言葉だと思いますよ」
全員が納得したように頷いている。
「俺も本当にそう思うよ」
その一言が切っ掛けとなり、全員が一斉に声を上げて笑った。
「ふう。たまにはこんな風に、親だけで話してみるのも面白いね」
「そうですね。子供と一緒にいるのも楽しいですけど、年に一、二回くらいはこういうことをしてみてもいいんじゃないでしょうか?」
「それいいわね! じゃあ最低でも夏休みに一回は、この四人だけで集まることにしましょうよ」
「そうだな。たまには子供の話を気兼ねなくゆっくりとするか」
「僕も賛成なので、決定ですかね」
「はい。決定です」
不意に出た案だが全員乗り気のようで、夏休みに集まることがとんとん拍子に決まった。
「よし。それじゃあそろそろ俺は上がるが、皆はどうする?」
「私も上がるわよ」
「僕はもう少し入ってようかな」
「じゃあ
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