大人だけの時間
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した。その後悠人に感謝の言葉を言った。
「すまん。助かった」
「いえ、別に大丈夫ですよ」
そこにシェラザードが、そっと悠人に声を掛けた。
「ねえ、悠人君。ほんの少しでいいから抱き着かせてくれない? ね?」
「たから駄目ですって」
「お願い」
本気の声色で頼まれて、悠人は困ってしまった。
「ええと……」
「…………」
「……ああもう、わかりましたから。せめて僕らのいないところでやってください」
悠人は無言のプレッシャーに根負けして、自分に被害が来ないように健太を犠牲にした。
「ちょっ……」
「え? あー、そういうことね! わかったわかった。それじゃあ二人っきりになるまで我慢するわ」
悠人の不穏な言葉に健太は声を上げたが、更に大きなシェラザードの声に掻き消されてしまった。
「そうしてください」
「悠人さん! なんてことを言うんだ!」
「兄さんもたまには義姉さんにサービスしてあげたらどうですか? このままだと愛想を尽かされちゃいますよ」
「むっ」
健太はようやく声を上げたものの、美香に諭されて二の句が継げなかった。
「はあ。やっと収まった。疲れを癒しに来た筈なのに、余計に疲れちゃったような気がするなあ。これからは気を付けてくださいね」
「ごめんね。ありがと」
「すまなかった」
シェラザードは明るく謝ったが、健太は不満そうに謝った。納得がいかなかったのだろう。
そんな疲労を見せる悠人に、美香は優しく声を掛けた。
「悠人さん。肩を揉みましょうか?」
「え? あ、うん。頼むよ。ありがとう」
「あっ、いいなー。肩揉んでもらって。……そうだ。健太。私の肩揉んで」
「お前は本当に……はあ」
健太は何かを言おうとしたが止めた。そして諦めたようにため息を吐いて、大人しくシェラザードの肩を揉み始めた。
それから二人はしばらく肩を揉んでもらった。悠人は適当なところで美香にお礼を告げて、また寄り添って座った。そしてシェラザードも健太に肩揉みを止める許可を出した。
「やっと終わった」
「んー、気持ちいいわ。これで少しでもお酒があれば最高なんだけど」
「それはちょっと無理じゃないですか? まあ理解はできますけどね」
「義姉さんは本当にお酒が好きですね」
「当たり前よー。お酒は私の活力源なんだから」
シェラザードはからからと笑った。
「そういえば、食事の前に入った温泉で玲音と翔夜君が、本当の兄弟みたいだったな」
「ええ。そうですね」
「どういうことよ? あの子たちは何をしてたの?」
「私も気になりますね」
自分たちの子供の話に、二人は大きく興味をそそられた。
「いや。翔夜が玲音君のことを『絶対に追い付きたい目標』だって話したら、玲音君は『そう簡単に越えさせる訳がない
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