暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
圏内事件〜殺戮へのチケット〜
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ってしまったのは必然といえば必然であった。
さらに、レンが放った斬撃は超高速であった、ということも忘れないでおきたい。
速い、ということはすなわち眼で目視してから対処するまでの時間が、限りなく少なかったということなのだ。
実際、この時のレンの斬撃は瞬きしたらそれで終わりと言う次元のものだった。
《化け物》と言う単語が脳裏に浮かぶ。
そして、PoHはレンのその一瞬の空白を逃しはしなかった。
タンッ!という軽やかな、しかし戦慄するような音とともに約十数メートルの空間の壁というものを軽々と超え、跳び掛ってきた。
友切包丁は肩に担ぐように構えている。
異様にぎらつくその刀身の先はあまりに正確に、固まっているレンに向かって垂直に構えられているため、まるで一本の線に見える。
「くッ………おあァッ!」
一瞬対処が遅れてこそ、レンもやはり《六王》の一人だった。
急所判定である頭、しかも眉間をまっすぐ狙っていた凶刃を首をひねることでどうにかかわし、右肩にかすりながら後方に抜けていく感触を嫌と言うほどに味わいながら、素早く距離を取る。
その場でゆらりとポンチョを揺らしながら静止したPoHを目視したところでようやくレンは詰めていた息を吐き出した。
さて何を話したものか、とレンの小柄な体から一瞬力が抜けた。
その瞬間───
右肩から灼熱した焼きごてでも押し当てられたかのような痛みが押し寄せてきた。
「………い…………ぎ……ッ!」
堪え切れず片膝を地面につける。右腕が力を失い、だらんと垂れる。
左手をその痛みの源にやると、妙な感覚が帰ってきた。ぴちゃりと液体を触ったような手応え。
左手を思わず引き戻す。目の前の左手から垂れていたのは───
血だった。
「………ッ!」
SAOで言うところの《傷》と言うものは果てしなく簡略化されている。モンスターであれ、プレイヤーであれ斬られた傷や刺し傷は剣や槍がダメージを与えた箇所に赤い線や点が付く、というだけなのだ。
しかも、その傷にしても与えられてから数秒すると消えてしまう。
だから今現在SAOで血液と言うものを見ることは不可能なのだ。
だが、今レンの眼前で垂れているのは、まぎれもなく血液以外の何物でもなかった。
それを見た直後、レンの心を支配したのは恐怖でも、畏怖の感情ではなかった。
それは───ただ単純に動揺、である。
なぜなら、レンはこの仕組み、いや現象を知っていたからである。
「これは……《心意》」
一瞬眼を見開いた後、レンは突っ立ったままのPoHを睨みつける。
「おじさん、この力をどこで知ったの!?」
勢い込んで放った疑問は、さも当然のようにスルーさ
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