第七話
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ため自動で行われる。
擬体を通して見るコックピット。
エルシャンはふと、自分が一度も生身の肉体でコックピットに入った事が無い事に気付いた。
「それ以前に、生身で機体に触れた事すらないよ……」
自分にとって慣れ親しんだSF/A-302──とはいっても、同じ機体に乗る事はあるが専用機という訳ではなく、パイロットには機体の選択権はなく空いている機体に搭乗させられるだけ──が、擬体を通してしか触れ合っていなかった事を実感した。
擬体は、単にパイロットの代わりに生身では耐えられない強力なGに耐え、撃墜時に身代わりに破壊されるだけの存在ではない。
機体とパイロットの肉体を、物理的にもネットワーク的にも遮断する役割を持つ。
パイロットが同調に使う装置にはAIが搭載されており、パイロットが擬体を介さず直接機体を操作すると【敵性体】により同調装置のAIを乗っ取られる事が分かっている。
そしてこの擬体に使われている技術もFTLC(超光速通信)と同じく、銀河系外文明より伝えられたものだった。
上下幅1000光年、横幅3000光年の楕円形の断面を持つ第二渦状枝腕(サジタリウス腕)の5000光年の長さの範囲にわたって連盟軍は、対【敵性体】の監視ポッド──直径3mの球形で1.3光日の範囲をカバーする性能を持つ。索敵で得た情報は同調装置にも使われるFTLC(超光速通信:Faster Than Light Communication)を用いて後方へと伝えるが、索敵手段自体は光や電磁波などを測定するため、ただ監視ポッドの索敵範囲を広げても情報の鮮度が下がり情報自体が無意味となる──を兆の単位で設置し【敵性体】の移動を調べている。
もっともその範囲を完全にカバーするには京の単位の監視ポッドが必要になるが、それだけの数の監視ポッドを生産するのも、また設置するのも不可能だった。
だが【敵性体】の行動パターンを予想し航路を絞り、必要な宙域に重点的に配置する事で、今回のように【敵性体】の侵攻目的を事前に察知し、罠を張って奇襲をかけるという作戦が可能になり、エルシャンが参加した奇襲作戦だけでも今回を含めて4度目なので、十分役目を果たしているといえた。
『行くぞ!』
『了解』
ヴォーロとエルシャンの機体は、1個連隊の編隊とともに敵母艦種の集団へと突入して行く。
亜光速戦闘では全長5kmを超える母艦種100隻による大艦隊も、光学機器による最大望遠の補正を受けてなお、至近に接近するほんの一瞬以外は宙に浮かぶ百粒の芥子粒にも等しい。
本来、亜光速戦闘は不可能と説明したが、今回のように【敵性体】の侵攻ルートを特定できた場合は、その限りではない。
今回の奇襲任務に参加する機体には機体下部に取り付けられた減速装置──イナーシャルキャンセラー
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