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故郷は青き星
第七話
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シャンとヴォーロが自然にペアを組んで互いにフォローしあう展開となり、最終的にはかなり本気を出す事となったエルシャンの活躍もあって、師団司令部よりの披撃墜許可──機体自体を生還させられる様な状況に無く、また人的な被害が出る事が無いため──出るまでに生き残ったのは彼等2人の機体のみだった。
 エルシャンには及ばないにしろエース級と呼んで間違いない技量をヴォーロは有していたはずだった。
「ああ、そうだな。俺は雑種だからな……」
 言い辛そうに、そして自分を恥じるかのようにヴォーロは小さく呟いた。
 エルシャンは自分が踏んだ地雷に何と応えていいか分からなかった。彼自身には雑種を差別する意識などは全く無い。元地球人の感覚としてはシルバ族だろうが何族だろうが、雑種だろうが全て異星人だった。だが現在の彼はシルバ族の純血種で、尚且つ上級氏族の中でも名門と呼ばれる立場であり、この艦隊の所属する基幹艦隊の総司令であるトリマ家の嫡男だった。何も言葉が出なく、やりきれなさに表情をゆがませる事しか出来なかった。
 心情的には『雑種の何が悪い! それはシルバ族の子供達はとても可愛い。弟や妹達なんてマジ天使で可愛らしさの余り頭がどうにかなりそうなくらいだった。だが他の種族の子供達が可愛いくないなんて事は無い。アルキタ族もシルコク族もエルゾ族もキルシュウ族もカルイ族もみんな可愛い。可愛くて溜まらん! だがそれらの血が混じりあった子供達が可愛くないはずが無い。むしろ可愛い。絶対に可愛い!』と叫びたいほどであったが、それは色んな意味で言うべき台詞ではなかった。
「エール。お前が気にする事は無い。お前が俺達雑種を軽蔑してない事くらい、今のお前の顔を見ればすぐに分かるさ。だからとお前が純潔種であることで俺に引け目を感じてはくれるな……戦友」
「そうだな戦友」
 ヴォーロの言葉に不覚にもぐっと来たエルシャンは、そう答えると涙を見せないように部屋を立ち去ろうとする。しかし待機中はこの部屋を出る事は出来なった。
『総員任務開始に備えよ。パイロットは1分後に擬体への同調を開始します』
 余りの台無し感に本気で泣きそうになった。思った以上に短く済んだ待機時間が救いといえた。


 同調を開始した次の瞬間にはエルシャンはコックピットの中に居た。
 航宙母艦からの発艦と編隊を組むまでの過程は既に済んでいる。発艦シークエンスは母艦の側面に設けられた無数の格納デッキの発着口からロボットアームによって艦外に移され射出されるので、パイロットが介在する余地が無い。
 発艦後に各機が集まって編隊を組む作業は、通常の任務では訓練を兼ねてパイロットによって行われる場合が多い。だが今回のようにシビアなタイムスケジュールに従う必要のある任務においてはパイロットのミスによるスケジュールの遅延は許されない
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